
| メルセデスAMG C63の「V8廃止」は誤算だった |
まさかここまで「ダウンサイジング」「電動化」への拒否反応があろうとは
メルセデスAMGとV8エンジンとは非常に強い結びつきを持ちますが、新型C63では大胆にも4気筒PHEVへとダウンサイジングを行っており、これが多くのファンを失望させることに。
この新型4気筒PHEVはF1からの技術を取り入れた先進的なパワーユニットで、実際に従来のV8ツインターボを遥かに上回るハイパワー、そして効率性を発揮していたものの、メルセデスAMGの顧客の多くは「パワー」「パフォーマンス」よりも「V8エンジンのサウンド」を求めていたのだとも考えられます。
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メルセデスAMGの思惑と事実は「真逆」の方向へ
メルセデスAMGとしては「パワートレーンに左右されず、我々の顧客は先進性とパフォーマンスを求めている」と述べ、この画期的な4気筒PHEVが十分に受け入れられると考えていたものの、実際には完全なる誤算となってしまい、メルセデスAMGのトップ、ミヒャエル・シーベCEOも「一部の忠実な顧客を失った」と認めるなど、この決断がブランド価値を傷つけたことも明白に。
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しかし2025年2月、メルセデスAMGはこの失敗から多くを学び、「次世代の電動化されたハイテクV8を2026年以降投入する」と発表するなど事実上の方針転換を示しています。
これは米国市場を中心に「まだまだV8を求める声が強い」という現実を反映した判断ではありますが、(おそらくはマイバッハのみとなりそうではあるものの)V12エンジンの継続についても言及がなされ、これまでの「電動化一本」からの大きなシフトです。※これまでメルセデス・ベンツは腰が重い会社ではあったが、この変わり身の速さを見るに、よほどC63での失敗がこたえたようだ
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新型V8「M179」の特徴とは?
現時点で公式情報は限られているものの、新エンジンは「M179」と呼ばれる4.0リッターV8ツインターボになるとされ、完全新設計というよりも従来のM176/M177/M178を進化させた設計を持つといい、以下の特徴が期待されています。
- フラットプレーンクランク採用:高回転化・レスポンス向上を実現
- ハイブリッド化:マイルドハイブリッド/PHEVの両方に対応し、出力強化と排出ガス規制を両立
- パワーアップ:既存のAMG GTブラックシリーズ(720ps)を超える出力が予想され、800馬力級の可能性も
- 専用エキゾーストシステム:特許による「8-4-2-1クロスオーバー」レイアウトで、クロスプレーンV8風の重厚なサウンドを再現
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どのモデルに搭載されるのか?
最初にM179を搭載すると見られているのはAMG CLE63で、このクルマは2026年末から2027年初頭に登場予定。
その後、以下のモデルにも順次展開される可能性がありますが、「フラットプレーンクランク」採用V8エンジンがここまで多くのモデルに採用されることとなれば、”C63の失敗によって失われた”顧客も戻ってくるのかもしれません(これが実現すれば、けっこうな大ニュースであり、いかにメルセデスAMGが本気であるかがわかる)。
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さらにはEクラス(E63)の復活や、Sクラス/GLSなど非AMGモデルへの展開も噂されており、911 GT3対抗とされる「AMG GT トラックスポーツ」コンセプトにも適用される可能性がありそうですね。
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なお、4気筒エンジンを積むメルセデスAMG C63は現時点では「絶望的に売れず」失敗作として名を残すことになりそうですが、その失敗によってメルセデス・ベンツが新型V8エンジンを開発するのだとすれば、その失敗の意義はけして小さいものではなく、長い目で見ると「ひとつのターニングポイント」として評価すべきなのかもしれません。
まとめ
自動車業界には「排気量に代わるものはない(No replacement for displacement)」という言葉がありますが、まさにメルセデスAMGはその本質に立ち返ったといえるのかもしれません。
次世代のM179 V8は、電動化とのハイブリッド融合により、パワー・サウンド・環境性能を兼ね備えた“新しいAMG V8”として復活することになりそうです。
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参照:Carbuzz