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トヨタ「スポーツカーを好む顧客がハイブリッドを受け入れるにはまだまだ時間がかかる。次期スポーツカーはハイブリッドの可能性あるが、顧客が愛するのはガソリンエンジンである」

トヨタ

| 現在、ハイブリッドスポーツは各社共通で「支持されない」という課題を抱えている |

トヨタも過去に“幻のハイブリッド・スポーツ”にて市場の反応を見ているが

さて、現在のハイパフォーマンス市場にて共通ともいえる課題が「ハイブリッドパワートレーンが支持されない」。

メルセデスAMG C63、フェラーリ296GTB / 296GTS、マクラーレン・アルトゥーラなど「ガソリン車よりも高いパフォーマンスを発揮するのに人気が出ない」クルマも少なくはなく、しかし自動車メーカーとしては排ガス規制をクリアする必要があるため、いかにスポーツカーといえども「ハイブリッド化せざるをえない」だけに、これは各メーカーとも頭を抱えている状況であるとも考えられます。

なお、数少ない例外はランボルギーニ・レヴエルト、ポルシェ911カレラGTSですが、これらが支持を集めているのは「エンジンをダウンサイジングしなかったから」なのかもしれません。

ちなみにトヨタはまだハイブリッドスポーツを発売していないものの、いくつかハイブリッド・スポーツカーを試作しており・・・。

  • GRMN Sports Hybrid Concept II(2011年頃):ミドシップ・ハイブリッドの挑戦
  • GR HV Sports Concept(2017年):86をベースにしたハイブリッド+タルガトップ仕様

いずれも市販化には至らず、現在に至るまで「ハイブリッド・スポーツカー」は登場していない、というのが現状です。

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Image:Toyota

レクサスLFRに続く展開は?

とはいえトヨタの状況は変わりつつあり、レクサスブランドからは近く「LFR」と呼ばれる新型スポーツカーを発表予定で、これはV8を中心とした電動化パワートレインを採用する見込み。

そしてトヨタブランドからもハイブリッド・スポーツ登場の可能性が示唆されており、レクサスLFR、そしてこのGR版となるであろうスポーツカーを皮切りとして、状況が大きく変わることになるのかもしれません。

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Image:Toyota

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豪州トヨタ幹部の発言:「否定はできない」

実際のところ、オーストラリアの自動車メディア「Drive」の取材に対し、トヨタ・オーストラリアの副社長ショーン・ハンリー氏は次のようにコメントしており・・・。

「我々はすでにさまざまなレース環境でハイブリッドを活用している。だから“絶対に(ハイブリッドスポーツの発売が)ない”とは言えない」

ただし現時点では、純ガソリン車の方がスポーツカー市場の欲求を満たしているとも述べています。

「現実として、パフォーマンスの爽快さを求める層にとってICE(内燃機関)がまだ最適解だ」

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Image:Lexus

「ICE+MT」はまだ続く

さらにハンリー氏は、ガソリンエンジン+マニュアルトランスミッションは「長く続くだろう」と強調。

スポーツカーの購入者は依然として「ガソリン車ならではのスナップ、クラックル、ポップ(爆発音や排気音)」を求めているため、(ハイブリッド化されるにせよ)ICEが完全に消えることはないと語っており、たしかに現時点でのトレンドもそれを示しているように思われます。

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次世代「G20E」エンジンと新型スポーツカーの布石

そしてこのトレンドへと対応すべく、トヨタは現在、新しい2.0リッター直4ターボ「G20E」を開発中。

横置き・縦置きどちらにも対応可能で、すでにGRヤリスのプロトタイプにミドシップにて搭載されています。

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これが示すのは、MR2復活や新型セリカの登場といった可能性で、厳しい排ガス規制を考慮するならば、このエンジンのハイブリッド版が投入されるのも自然な流れであると考えられ、しかし気になるのはその価格。

トヨタ
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ハイブリッド化されることで一気に価格が上昇し、新型ホンダ・プレリュードのように「600万円オーバー」となると万人に手が届く範囲ではなくなり、これはトヨタの目指すところではないのかもしれません。

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「Fun To Drive」はトヨタの原点

トヨタCEO、佐藤恒治氏(最近あまり前に出なくなった)は次のように宣言しており、そして様々な幹部の語るコメントを総合するに、この思想はトヨタ内で共通認識として根付いているものと考えてよく、トヨタの未来には“楽しさ”を核にした電動スポーツカーが用意されていると見て間違いなさそうですね。

「クルマは楽しくなければクルマではない。だから私たちはどのクルマも商品化に留めない」

まとめ

  • トヨタは過去に複数のハイブリッド・スポーツを試作
  • 豪州幹部は「市販スポーツカーにハイブリッド導入は否定できない」と発言
  • 新開発の「G20E」エンジンは新型MR2やセリカ復活の布石に
  • 将来はガソリン+ハイブリッドの両立が進みそう

ガソリンの鼓動と電動化のメリットを融合させた新世代のトヨタ・スポーツ。

トヨタのハイブリッドというと、プリウスに代表されるように「燃費向上施策」としての性格にとどまっており、しかしこれまでとは全く異なる「運動性能を向上させるための」ハイブリッドシステムが搭載されたスポーツカー発表の日を心待ちにしたいと思います。

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参照:Motor1

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