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テスラは「25,000ドル以下のEV」製造に際し、シャシーを一発で成形できるギガプレスの導入を検討中。これによって「400ものパーツを1つにまとめることができる」

2023/09/16

テスラ

| たしかにこれが実現できれば画期的であるが、同時に導入に至るまでの困難もまた大きい |

そして生産開始後のリスクもけして小さくはない

さて、現在中国製の安価なEVが欧州はじめ世界中へとなだれ込み、そこで既存自動車メーカーが対処しなくてはならないのが「製造コスト」の問題です。

つまりは「いかに安く作り、中国製EVに対抗できる価格で販売するか」を考えねば生き残りすら難しいという状況に陥る可能性があるわけですが、そこで注目を集めているのがギガプレス(ギガキャスト)。

これはテスラがすでに導入していること、トヨタが導入を発表したことで広く知られるようになった画期的な車体の製造方法です。

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テスラはさらにギガプレスの使用範囲を広くする計画を持っている

このギガプレスとは、これまで20-30くらいの小さなパーツを成形し溶接することで組み立てていた車体の構成部品を「一発で」成形する工法。

これによって製造工程や時間を簡略化・短縮でき、つまり製造コストを引き下げることができるわけですが、いくつかデメリットがあり、代表的な例をいくつか挙げてみると、まずは「ギガプレス(製造に必要なプレス機)自体が非常に高い」ということで、このモトを取るには相当な台数を生産する必要が出てきます。

たとえばテスラは生産台数自体が多く、かつ「車種が少ないため」に同じパーツをバンバン作れるわけですが、他の自動車メーカーだと生産台数が少なく、その反面で車種が多い(多品種小ロットである)ために(同じ)パーツの生産数量が必然的に小さくなってしまい、よってギガプレスを導入することにリスクが生じます。

そしてもうひとつの代表的な問題は「事故を起こした場合の修理費用が高い」というもので、これは「車体を構成するパーツが、大きなパネルから作られている」ために部分的な交換ができないということに起因しているわけですね。

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ただ、テスラは現在ますます厳しくなる価格競争に対処するために「25,000ドルの」低価格EVを投入することを明らかにしており(モデル2と仮に呼ばれている)、このモデル2についてはこれまでのギガプレスをさらに進化させ、「アンダーボディ全体を1つの部品で製造し、時間とコストをさらに節約することを検討していると報じられます。

現在、ギガプレスを採用することでコストを大きく引き下げることに成功している車種はモデルYですが、テスラはモデルYをより少なく、より大きな部品で製造することによって製造コストを大幅に削減して利益率を向上させており、これを分解したトヨタのエンジニアがモデルYをして "芸術作品 "と呼んだのは記憶に新しいところです。

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テスラは現在のギガプレスの「2倍以上」の圧力をかけることができる機器の導入を検討

なお、現在モデルYのパーツ製造に使用しているギガプレスのクランプ圧力が6,000~9,000トンであるのに対し、モデル2用に検討している新しいツールは16,000トンもの圧力をかけることが可能だと言われます。

これによって、「ほかメーカーの自動車だと、400ものパーツで構成される」フロアを「たったひとつの」パーツで一度に作る事が可能となるわけですが、これだけの広い面積を持つパーツを正確にプレスするには非常に高い精度が要求され、かつ正しく使用することも困難を極めるといい、よってテスラは現段階では最終決定を下していないのだそう。※面積が広ければ広いほど、ひとつのパーツに発生する問題の可能性が大きくなり、工作機械の修正が困難になる。生産開始後の修正は非常に難しい

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そして現在、テスラとサプライヤー(イタリアのIDRA社が有力だと見られる)との間ではいくつかの問題解決のための方法が検討されており、そのひとつが「サンドキャスト」。

金型に対し砂を使用することで、テスラは中空部分を持つアンダーボディを整形できる大型プレス機の開発に取り組んでいると報じられており、しかしこれについても「大きな砂の塊を入れるとうまく冷却されず、金型の熱的特性が変化してしまう」という問題があるそうで、「砂を入れたまま冷却できる新しい方法」を模索しているものの、この解決策が見つからずに先に進めない、とも。

ただしこの課題を解決できるかどうかによってモデル2の収益性が大きく変わってくるものと思われ、テスラとしてはなんとしてもこの問題を解決したいと考えてよく、もしかすると、この問題が解決できない限りは「モデル2の実現はない」のかもしれません。

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参照:Reuters

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