| 欧州におけるEV販売比率は現時点ではアメリカよりも3倍程度高いレベルにあると考えられる |
ただし「安価な中国製EVによって欧州自動車メーカーのEV販売が阻害されているという課題も
さて、先日は英国が「ガソリン / ディーゼルエンジンを搭載する新車の販売禁止を2030年から2035年に延期する」と発表したばかりですが、その際には「延期せずとも、2030年には新車販売のほとんどが自然にEVばかりになっているはず」というコメントも付与されています。
そして今回はそれを裏付けるかのように「欧州におけるEV販売が加速し、8月における新車販売の5台に1台がEVになった」という報道がなされており、これは実に昨年同月比で約二倍に相当する数字なのだそう。
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今年1月から8月までに100万台近くのEVが販売される
欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、EV(PHEVを除く純粋なEV)の正確な販売台数は16万5156台で、新車販売におけるシェアのうち21%を占めています。
これはPHEV(プラグインハイブリッド)の7.4%を大きく超えているものの、ガソリン車の32.7%に比較するとまだまだ少ない数字。※ハイブリッド車の販売構成比率は23.9%
ディーゼル車の比率は12.5%(8年前は50%もあったらしい)から減少を続けており、同様にガソリン車の比率も減少中だとされ、このままだと少し前に出された「2030年には、欧州の新車販売におけるEV販売比率が85%程度になる」という予測が現実のものとなりそうな勢いすら感じます。
参考までに、アメリカでは1−7月におけるEVの販売比率が7.2%だったというので(それでも2%に満たないと言われる日本よりはずっと多い)欧州では「構成比にして(集計期間が異なるので単純比較はできないものの)アメリカの3倍程度のEVが売れている」ということに。※アメリカと日本での「EV」につき、PHEVを含むかどうかはわからない
ただし欧州では中国製EVの販売が増加
この欧州での数字を見るに、順調にカーボンフリーへと向けて歩が進められているように思えるものの、そこには大きな懸念があるとされ、それはここ最近良く報じられる「中国製EVの進出」。
直近の統計では欧州におけるEV販売の8%を占め、さらにその販売を伸ばして続けているとも報じられており、よって欧州連合はこれを抑制し現地自動車メーカーを保護すべく高い関税を課すことも検討中だとされますが、そうなると欧州自動車メーカーの保護にはなるものの、(中国製EVの末端価格が上がるので)EVの価格が全体的に引き上げられる可能性が高く、となればEVの普及ペースに影響が出るであろうことも予想されます(加えて消費者の負担も大きくなる)。
その場合、新車購入検討者がEVに比較して割安なPHEV、もしくはハイブリッド車を選択することも考えられ、結果的にEVの販売台数はあまり増えず、脱炭素化が遅れることも推測でき、関税の導入については慎重な判断が要求されることになりそうです。
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参照:ACEA