
| この他にも気になるボディカラーは多々あるが |
やはり黄色好きのボクとしては「外せない」選択である
さて、ぼくは残りの人生のうちであと2~3台のフェラーリを購入するであろうと推測していますが、そこで考えねばならないのが「ボディカラー」。※数が限られる以上、後悔しないよう慎重にカラーを選ばねばならない
ぼくはフェラーリにおいていくつかチャレンジしたいボディカラーを心に秘めていて、代表的なものとしては「ジャッロ・トリプロ・ストラート」そして「アッズーロ・ラ・プラタ」。
そこで今回はジャッロ・トリプロ・ストラートについて考えてみたいと思います。
フェラーリの「ジャッロ・トリプロ・ストラート」とは
このジャッロ(イエロー)・トリプロ・ストラート(Giallo Triplo Strato)とは、フェラーリが提供する特別なボディカラーの一つで、日本語では「3層仕上げの黄色」という意味になります(オンラインカーコンフィギュレーターでは「スペシャル」として分類される)。
このカラーの特徴は、文字通り3層の塗料を重ねて仕上げられている点で、これにより、通常のイエローよりも深みと輝きが増し、光の当たり方によって様々な表情を見せることになりますが、いわゆる「イエローパール」のような雰囲気ですね(実際にパールが入っているのか、それともアルミフレークを使用した高輝度塗装なのかは把握していない)。
そしてこのオプションは非常に高価で、しかし格別の美しさを持つことから非常に高い人気と知名度を(フェラーリオーナーの間で)誇っており、かつこのカラーを選んだオーナーは「スタンダードカラーのジャッロ・モデナ(下のF50)ではなく、同じ黄色であっても、非常に高いエクストラを支払ってこのカラーを選んだ」ことから”勇者”だと見なされることもしばしば。
ただ、このカラーを選択して「ちょっと悩む」のはインテリアカラーで、意外とイエローにマッチするボディカラーが少なく、ぼくが考えるのは「ブラックかブルー」。
ちなみにぼくは「イエローのポルシェ」を2台乗り継いでいますが、それらの内装はいずれも(新車オーダー時に洗濯した)ベージュです。
ただ、フェラーリの”イエロー”はモータースポーツとも密接な関係にあり、よってその内装は(ロードカーを連想させる)ベージュよりも、レースを意識したブラックあるいはブルーのほうが向いているんじゃないかと考えているわけですね。
あるいはボディカラーと同じ「イエロー」もいいんじゃないかと思うのですが、「明るいブルー」「イエロー」は一部限定モデルを除くと通常オプションの範囲で選択できず、そしてこれを選ぼうとなると「お金の問題」が発生してしまうということに。
「フェラーリとイエロー」はどういった関係にあるのか
上述の通り、イエローは、フェラーリにとって非常に重要な意味を持つ色で、単に数多くのボディカラーの選択肢の一つというだけでなく、フェラーリというブランドの歴史と深く結びついています。
1. モデナのカラー:
フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリの故郷であり、フェラーリが最初に設立された街、モデナのシンボルカラーが「イエロー」。
フェラーリのエンブレムである「跳ね馬」の背景が黄色であるのは、このモデナへの敬意と結びつきを表したためで、エンツォ・フェラーリは「跳ね馬は黒、その背景はイエローでなくてはならない」と(そのエンブレム考案時に)述べたと言われます。※この際、エンツォ・フェラーリは”カナリアイエロー”と表現したようだ
参考までに、「エンツォ・フェラーリ博物館」の屋根はレッドではなくイエローです。
-
-
フェラーリが公式にそのエンブレム誕生を語る。エンツォとミラノの芸術家によって作られ、文字の上で「馬が跳ねているように」というのはエンツォの指示だった
| フェラーリが公式にエンブレムについて語るのはおそらくこれが初だと思われる | フェラーリの「馬」は現在に至るまでに「スリム」になっていた さて、フェラーリは自動車業界でもっとも印象的なエンブレムを ...
続きを見る
2. フェラーリの第二の魂:
フェラーリ自身もイエローを「ブランドの第二の魂」と表現していますが、これは、レッドがフェラーリのレース活動における伝統的なナショナルカラーであるのに対し、イエローは創業の地とエンツォ・フェラーリのルーツを象徴する色だからだと考えてよく、よって本社に掲げられる「Ferrari」文字もイエロー。
さらにフェラーリはイタリア本拠地で開催されたF1グランプリにおいても「イエロー」をF1マシン、そしてドライバーのレーシングスーツやヘルメットに採用したことがありますね。
-
-
フェラーリがイタリアGPに向け「イエローアクセント」を付与したF1マシン(F1-75)を公開!今回「イエロー」とそのエンブレムの成り立ちについて公式に語る
| フェラーリがここまで「イエロー」を押し出すことは非常に珍しいと思う | シャルル・ルクレールとカルロス・サインツのレーシングスーツもイエローに さて、フェラーリは先日「イエロー(ジャッロ)」をテー ...
続きを見る
3. モータースポーツでの「イエロー」の歴史:
1960年代初頭には、イエローのフェラーリがモータースポーツのサーキットで数多く見られており、これは「ナショナルカラーがイエロー」であったベルギーのレーシングチーム(エキュリー・ナショナル・ベルジュやエキュリー・フランコルシャンなど)が、多くのイエローのフェラーリを購入したという事実があるから。※当時はナショナルカラーをまといレースを戦うのが一般的であった
さらにはベルギーのインポーターの要請により、F1マシンが黄色に塗られたこともあり、ここからもやはり「イエローはフェラーリにとって特別であり、ロッソと並ぶ重要なレーシングヘリテージ」であることがわかります。
4. 伝説的なモデルへの採用:
伝えられるところによると、(レーシングドライバーの)ルイジ・ムッソの未亡人であり、エンツォ・フェラーリの友人でもあったフィアンマ・ブレスキが、モーターショーにてイエローフェラーリを展示することを提案し、275GTB発表の際、初めてジアッロ・フライ(Giallo Fly)なるボディカラーが採用され、ショーに展示されたと言われます。
ちなみにですが、その後しばらくは新型車発表の際に「レッドとイエロー」両方を用いるというケースがしばしば見られるようになっています。
こういった事情を鑑みるに、フェラーリとイエローは、単なる(エンツォ・フェラーリの)色の好みを超えた「歴史的、文化的、そして感情的な深い繋がりを持っている」のだと考えてよく、その特別な関係を現代にまで伝えるカラーでもあるというわけですね。
あわせて読みたい、フェラーリ関連投稿
-
-
「レッド」の前には「ブルー」だった。フェラーリは1960-1970年代にレーシングドライバーのスーツ、スタッフのユニフォームにブルーを使用していたことがある
| 当時のフェラーリのレーシングカーのシートも「ブルー」である | フェラーリのエンブレムにも「ブルー」が採用される可能性があったとも言われ、エンツォ・フェラーリは”ブルー好き”であったのかもしれない ...
続きを見る
-
-
フェラーリが2025年を戦う「296GT3」を公開。ル・マン・ハイパーカーと同じカラーリングにナンバーを持ち、このエアロパッケージは296VSにも採用か
Image:Ferrari | フェラーリ296GT3は現時点においても「非常に成功したレーシングカー」のひとつである | 実際のところ、フェラーリの「V6」は非常に成功しているが さて、フェラーリが ...
続きを見る
-
-
モンブランが「エンツォ・フェラーリ」モチーフの文具シリーズを発売。エンツォの名言、そしてエンブレムの起源やクラシックカーのデザインが反映
Image:MONTBLANC | 「フェラーリ×モンブラン」久しぶりの新シリーズの展開である | 「イエロー」を選択したことは注目に値する さて、フェラーリは万年筆で知られるモンブランとパートナーシ ...
続きを見る