| 公式にランチアがストラトスの復刻をアナウンスしたわけではないが、この流れだと復活は間違いないだろう |
自動車市場、ここまで明確な目的のために設計されたクルマも珍しい
さて、ランチアが公式に「ストラトスの50周年」を祝うコンテンツを公開。
ランチアは1992年に撤退するまでにWRCにおいては10回の勝利を記録していますが、これは今でも自動車メーカーとしては最多記録であり、つまりランチアは「WRC史上、もっとも成功した自動車メーカー」でもあるわけですね。
ランチア・ストラトスが初勝利を記録したのは1973年のツール・ド・フランスで、今年はデビューそして初勝利から「記念すべき50周年」ということになります。※市販モデルのストラトスHFストラダーレの生産が開始されたのは1974年
ランチア・ストラトスは「勝つために生まれた」
ランチア・ストラトスの歴史は1970年のトリノモーターショーにて、カロッツェリア・ベルトーネが発表したドラマチックな新型ストラトス・ゼロコンセプトからスタート(このクルマは、前後にライトバーを備えるという未来的なクルマであり、現代になりテクノロジーがこのストラトス・ゼロに追いついたとも考えられる)。
ただ、このストラトス・ゼロ・コンセプトは「車高わずか83センチ」というとんでもない低さを持っていて、デザイナーであるマルチェロ・ガンディーニのプロパガンダもむなしく、ランチア側の「もっと実用的なクルマを」「ラリーで勝てるクルマを」という要求を受けてデザインが大きく変更され、競技用モデルとしてのストラトスHF、その市販モデルの「ストラトスHFストラダーレ」が登場することとなっています。
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はたして市販モデルのランチア・ストラトスは「ラリー競技のレギュレーションに合致するよう」「その中で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう」に設計されており、つまりはホモロゲーション取得のためにゼロベースから設計されたクルマです。
そのため旋回性に優れるミドシップレイアウトを採用し、コックピットの後ろに取り付けられたのはフェラーリ・ディーノ246に積まれていたもの(もともとこのユニットはフォーミュラ2用に開発されている)。
何よりストラトスを「革命」たらしているのはそのデザインであると考えてよく、ストラトス・ゼロにインスピレーションを得たウェッジシェイプを持ち、ラップアラウンドウインドウ、ウェッジシェイプ、極度に短い前後オーバーハングを持っています。
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1973年末になるとランチアはストラトスHFの生産準備を進め、ベルトーネは500台のモノコック・シャシーを供給し、これによって1974年10月、ストラトスHFはついにFIAのグループ4スペシャルGTカテゴリーのホモロゲーションを取得することに成功することに。
ムナーリとマヌッチのドライブにより、ポルシェ 911 やフォード・カプリなどの強力なライバルを相手に50年前のステージで初勝利を収たのち、フィアットが131アバルトでハットトリックを達成するまで、1974年から1976年まで3年連続でコンストラクターズ チャンピオンシップを獲得したこともよく知られており、つまり当時は「(当初の計画通り)無双を誇った」クルマでもあったわけですね。
ランチア・ストラトスの生産は「工場の火事」にて終焉を迎える
生産開始から5年間、このストラトスHFは、ランチアの革新的なスポーツカーとして、ラリー競技にて数百勝をあげるなど圧倒的な強さを誇っていて、火事にて生産工場の稼働が停止するまで492台が製造されますが、その生産のうち少量がモータースポーツに参戦し、のこり大半はHFストラダーレのロードゴーイングバージョン(ストラトスHFストラダーレ)として個人顧客に販売されています。
そして今回、ランチア主催による「50周年記念イベント」が開催されることとなっており、このイベントはランパール・ダングレーム・サーキットにて行われ、ヌーベル・アキテーヌの歴史的なルートを走行することでその栄光を讃えています。
イベントにはヨーロッパラリー選手権を制覇した元”ストラトス・ドライバー”のバーナンド・ダルニシュ氏も出席したとされ、開催期間を通しておおいに盛り上がったようですね。
ランチア ブランドのCEO、ルカ・ナポリターノ氏は、今回のイベント開催について以下のようにコメントしています。
今日、私たちは、史上最も成功したラリーカーの 1 つであり、世間では『la bête à gagner』として知られるランチア・ストラトスの初勝利から50周年を祝うことになりました。037やデルタとともに、ランチア・ストラトスはラリー界の伝説となっています。しかし、それだけではありません。ランチア・ストラトスは、我々のブランドの歴史の中で最も象徴的なクルマの1つでなのです。
究極の目的のためにデザインされたこのクルマには、丸いリアライト、空気力学的な形状、インテリアのカラーブロッキングなど、想像力の産物であり、将来のランチア車のデザインに私たちを導いた重要なデザイン要素が多数存在します。
現在、ランチアは新しいコンセプトにてブランドをリブートしている最中ですが、そこでまず宣言されたのがデルタの復活。
ストラトスではなくデルタだったのは「もっとも数を期待できる」からであったと思われますが、その後には明確に言及されていない(そのほかだとイプシロンのリニューアル、フラッグシップモデルの追加が言及されている)までも Pu+Ra HPEコンセプトによってストラトスの復活が予告されており、今後の動向には注目が集まるところです。
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参照:LANCIA