>マツダ(MAZDA)

マツダが全世界で好調販売を記録、特に米国では1986年の記録を16%上回って2024年を締めくくる。2025年もこの傾向は続くと見られ「新型スポーツカー」実現に近づく

マツダ

| マツダは資金不足によって「まずはいま売れてお金になる」SUVへと注力していた |

現時点でその計画は「うまくいっている」ように思われ、今後の展開に期待がかかる

さて、現在自動車業界は厳しい状況にあり、多くの自動車メーカーについて「苦境」が報じられているものの、マツダにとってはそういった状況も「どこ吹く風」であるようで、米国市場においては42万台以上を販売すると見られており、これは1986年に記録された販売台数を16%上回る”素晴らしい成果”になると報じられています。

なお、マツダはグローバルにおいても販売が好調に推移していて、2023年通年だと前年度比11.8%増の124万0668台を販売し、これは6年ぶりの増加です。

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マツダは「2025年もその好調が続く」と予想

このマツダの「伸び」はコンパクトクロスオーバーや中型SUVの需要に支えられ、特にその販売が好調な米国において、マツダ北米法人の社長トム・ドネリー氏は「私たちは、ボリューム面でほぼ安定した業界の中でビジネスを成長させている」と語り、同社の主力コンパクトカーと中型SUVの人気に加え、その進展を手に入れたことを要因として挙げ、2025年にはその販売がさらに伸びて45万台に達するであろうことについても触れています。

なお、米国市場での(全メーカー含む)新車販売はケリー・ブルーブックの予測によれば2024年に約1590万台を記録すると見られ、これは前年比2.3%の増加となるのだそう。

マツダの米国での販売台数はBMWやメルセデス・ベンツなどの高級ブランドを上回るものの、スバルやキア、日産といった他の普及価格帯ブランドにはまだ及んでおらず、しかし2019年の28万7552台という6年ぶりの低水準を記録した後の大きな回復を示しています。

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過剰な「電動化」を避けたことが奏功か

マツダはMX-30 EVモデルを除くと(そしてこれも世界中のいくつかの国や地域では販売を終了、あるいは販売されていない)BEVを持たず、そしてMX-30 EVモデルの販売台数が全体に与えるインパクトは「微々たるもの」。※ただし中国では別の展開が行われている

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そのためフォルクスワーゲンのように「EVが売れない」と苦しんだり、EVへの投資が回収できずに収益が圧迫されることもなく、つまり「積極的な電動化を行わなかった」「ガソリンエンジンを搭載するSUVに集中した」ことが結果的に今回の成長に結びついているものと思われます。

トヨタ
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さらにマツダはガソリンと電気を組み合わせたハイブリッド車市場にも足を踏み入れており、CX-50のハイブリッドモデルや、CX-70、CX-90 SUVのプラグインハイブリッド(PHEV)モデルなど、3つのハイブリッドモデルを展開していて、これらはまさに「いま米国市場が欲しているもの」。

そしてその後は「満を持して」BEV市場へと参入する意向を示しており、前出のトム・ドネリー氏によれば以下の通り。

「マツダは、拡大するハイブリッドのラインアップに向けて新しい自社開発システムを開発し、2027年までに完全電動車(BEV)の導入を試みる計画を持っています。これにより、我々は米国市場における初の完全電動車(MX-30 EV)の導入を超える新たなステップを踏むことになります。ただし現時点でBEVの普及率は10%であり、最近の状況を踏まえると、これ以上急速に拡大することは難しいでしょう。よってマツダが無理に!100%電動車化”という大胆な宣言をするつもりはありません」。

マツダ
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「資金」を獲得したマツダには「スポーツカー」を望みたい

なお、多くの人々がマツダに望むのは(RX-7後継などの)スポーツカーですが、いまのところマツダはそのラインアップをSUVへと特化させており、日本市場だとMAZDA2、MAZDA3セダン、MAZDA3、ロードスターを除くとすべてがSUVあるいはクロスオーバー。

マツダはなぜCX-60/CX-70/CX-80/CX-90という世界で最も混乱を招くSUVラインアップを持つに至ったのか?なお豪州ではすべてが販売され消費者を混乱に陥れる
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この理由は単に「スポーツカーを開発する金銭的余裕がなく、会社を存続させるために(現在の市場で需要がある)SUVへと特化せざるを得ない」ため。

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これについては実際にマツダが語り実行している戦略ですが、直近で投入された新型プラットフォームを使用した「ラージ商品群」はさらに利益率を向上させるためのプロダクトであることも明言されており、現時点ではマツダが思う方向へとコトが進んでいると考えていいのかもしれません。

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そしてマツダは今後、かねてより進めてきた「プレミアム化」に加え、いよいよ新型スポーツカーの開発へと本格的に取り掛かるものと思われ、ここからの飛躍に大いなる期待がかかるところですね。

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参照:Bloomberg

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