| 現在、世界中で代替燃料の研究が進んでおり、実用化が期待できる |
できれば内燃機関とエレクトリックパワーユニットとの共存する社会となってほしい
さて、スバルが2022年3月19日と20日に開催される「ENEOSスーパー耐久シリーズ 2022 Powered by Hankook 第1戦 SUZUKA 5時間耐久レース」にカーボンニュートラル燃料を使用した車両で参戦する、と発表。
このカーボンニュートラル燃料はいわゆる「合成燃料」ということになりそうですが、スバルによると「二酸化炭素と水素、その他一部非食用のバイオマスなどを由来とした成分を、ガソリンのJIS規格にマッチさせるように合成して製造された燃料」だと紹介されています。
カーボンニュートラル燃料によってガソリンエンジンは生き残ることができる?
さらにスバルは「燃焼時の二酸化炭素の排出量はプラスマイナスゼロとなる」と述べ、これをカーボンニュートラル実現のための手段の一つとして取り入れるもよう。
原料そのものの成分を全て再生可能エネルギー由来のものとし、さらに製造・輸送過程でのCO2排出をゼロと考えると「完全なカーボンニュートラル燃料」だと定義できるとしており、もちろん現時点での輸送にはガソリンやディーゼル車を使用するため「100%カーボンニュートラル」ではないものの、将来的には輸送に関わる部分もカーボンニュートラルにするという目標を持っているようですね。
なお、こういった合成燃料/代替燃料についてはポルシェやベントレーも研究を進めており、ハイパーカーメーカーのケーニグセグも参入すると報じられています。
ポルシェによると、現段階の技術だと「実用化に10年くらいかかる」としており、実用化されてもガソリンの倍くらいのコストになるとのことですが、原油価格も上がり続ける昨今のことなので、もし合成燃料の生産が本格化しコストが下がるようになれば、「ガソリンにかわる有力な選択肢」となるのかも。
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加えてEVについては「生産時に環境負荷がかかる」という調査もあり、ボルボによると「10万キロは走らないとガソリン車よりもCO2排出量が低くならない」とされ、さらには(バッテリーやモーターの)製造時に使用する希少希土類の消費も無視できず、このままEVが普及すれば、いくつかの資源が枯渇するという意見もあるもよう(もちろん、それまでには代替原料が発見されるとは思う)。
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加えて、豊田章男社長が言うように、「電動化社会への業界あげての急速なトランスフォームは、社会構造のドラスティックな変化を生み、その速度について来れない企業や労働者が社会から置いてゆかれる」ことも一つの懸念であり、しかしこういった代替燃料であれば既存自動車メーカーやサプライヤーに大きな投資を要求せず、最小限のコストによって、地球にも優しく「カーボンニュートラル」を実現できるんじゃないかとも考えています。
実際にこのカーボンニュートラル燃料を使用したクルマがどの程度のパフォーマンスを発揮するのかは「見てのお楽しみ」ではありますが、ぼくとしては非常に高い期待を寄せているわけですね。
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スーパー耐久シリーズを走るのはこんなクルマ
そして今回のスーパー耐久を走るのは、スバルBRZをベースにした「カーボンニュートラル燃料専用のスーパー耐久仕様車」。
「SUBARU技術本部のエンジニアが中心となって製作し、しかし量産車技術の延長線上でレースにどこまで対応できるかを試すため、改造は最小限に留めている」といい、ボディ上のグラフィックは、SUBARUエンジニアの情熱を象徴するブルーの炎と、カーボンニュートラル燃料を象徴するグリーンの炎をモチーフとしている、とのこと。
そしてこの車両についてはトヨタとも協調していると紹介されているので、トヨタにもその成果がフィードバックされることになるものと思われます。
なお、エンジンについては改造されているのかいないのかは不明ですが、「無改造」だとすれば、このカーボンニュートラル燃料はそうとうな(実用面での)ポテンシャルを持っているということになりますね。
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