| たしかに苦労して設計しても、売れなければやる気が出ない |
シボレーはミドシップレイアウトへと変更されたC8世代の「コルベット・スティングレー」を発表していますが、公開されたオフィシャルフォトを見ると「マニュアル・トランスミッションはナシ」。
そして問題は「今後、マニュアル・トランスミッションが用意されるのかどうか」ということですが、シボレーのエンジニアであるタッジ・ジュッチャー氏によると「無いな。絶対に無い」とのこと。
「マニュアル・トランスミッションは死にゆく運命だ」
その理由としては「マニュアル・トランスミッション搭載車はそもそも売れないだろうし、その少ない販売台数のためにかける開発コスト、サプライヤーの努力を正当化出来ない」。
さらには「マニュアル・トランスミッションはもう死にゆく運命だ」とまで語っており、この内容を見る限りでは、新型コルベットにはどう考えてもマニュアル・トランスミッションが搭載されることはなさそうです。
なお、アメリカ人は(スポーツモデルに関して)比較的マニュアル・トランスミッションを好むことでも知られますが、C7世代のコルベットZR1でもMT比率は23%程度だったと言われ、ポルシェ911で10%、トヨタ86では33%という統計も。
ちなみにコルベットZ06だとMT比率は15%程度だとされ、この比率は「下がって、下がって、下がり続けている」。
一方日本では意外とマニュアル・トランスミッションが好まれる傾向にあるようで、トヨタ86では60%がマニュアル・トランスミッションだそう。
こういった状況だと、エンジニアが苦労してマニュアル・トランスミッションを開発したとしても「ほとんど売れないこと」が予想され、そして実際に売れないとなるとモチベーションを維持するのも大変。
であればいっそのことMTを切り捨てたほうが設計の自由度が出ますし、コストも下がるので「最大公約数の人々が喜ぶ」選択になるというのは容易に想像ができますね。
参考までに、シボレーはMT「風」の操作を行うATの特許を出願しており、これは「スイッチだけのクラッチ」と「やっぱりスイッチ化したシフトノブ」を用意し、クラッチを踏んでシフトノブを動かせばシフトチェンジができるというもの。
これが実際に搭載されるのかどうかは不明ですが、面白いデバイスではありますね(以前にフォルクスワーゲンも似たようなシステムを考えていたことがある)。
新型コルベットは「車体番号を選べる」
そして新型コルベットについては、「オプションにて」車体番号を選ぶことができる、ということも公表されています。
これは5000ドルにて「車体番号の下5桁を自由に選べる」というものですが、けっこう面白いオプションだと言えそう。
ちなみにC7コルベットでは、やはりオプション扱いではあるものの、工場へと出向き、インストラクター指導のもと、「自分のコルベットを組み立てることができる」というものがあって、このあたりは日本車や欧州車にはない感覚でもあり、クルマに対する愛情が他の国とは全く違うと感じさせられる部分です。
一般に欧州車はクルマの名称がアルファベットや数字だったり「単なる機械として」扱う傾向が見られ、クルマの運転を楽しむという文化があまりないとされています。
反面アメリカだとクルマの名称は「名前」が与えられ、かつ「単に運転を楽しむためにクルマに乗る」という風土があると言われますが、随分クルマに対する接し方が違うものだ、と考えさせられますね。