| テスラはこれまでずっと自動運転に対して強気を貫いてきたが |
ただし弱気なのは技術的問題ではなく政治的問題が理由となっているようだ
さて、自動運転というとテスラ、テスラというと自動運転というくらい両者は切っても切れない関係にありますが、今回テスラCEO、イーロン・マスク氏が「2022年内に、テスラの自動運転機能(FSD=フル・セルフ・ドライビング)がドライバーなしにて公道を走行するための認可を受けることはできないだろうとコメント。
テスラは当初から自動運転について高い関心を示しており(というか、それが売り物のひとつだった)、2016年にエンハンスド・オートパイロット・ハードウエア2.0(HW 2.0)を発表したとき「2020年には自動運転が実現する」とコメントしていて、しかしそれが遅れたとしても楽観的な姿勢を貫いていたものの、今回(おそらく)はじめて悲観的なコメントを発したということになりますね。
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完全自動運転に向けて「まだまだやることは多い」
ただしテスラは年内に重要なFSDベータ版アップデートがリリースされるともコメントしており、しかしこのアップデートをもって最終版と呼ぶことはできず、完成までにはまだまだやるべきことがたくさんあること、そして実際にハンズフリー運転を可能にするには別の承認が必要だとも述べています(物理的に自動運転機能を実現させることと、認可を得ることは別問題である)。
なお、テスラに「無人運転」の承認を与えることになるのはテスラの天敵でもある米国道路交通安全局(NHTSA)。
米国道路交通安全局(NHTSA)は現在、テスラの自律運転中のいくつかの事故について調査しており、こちらがはっきりするまではまず認可が降りることはないと考えてよく、イーロン・マスクCEOはこの観点から悲観的になっているのかもしれませんね。
ただ、テスラは自動運転の追求をやめないことだけは確かであり、その理由の1つは「最終的にそれがテスラの最も重要な収益源になると考えているから」。
よって今回「承認を得ることが難しい」と考えたとしても、年内、そして来年にもシステムのメジャーアップデートを提供し、米国道路交通安全局(NHTSA)規制当局に対して「改善を続けている」ことを示し、承認に向けて少しでも前に進めようとしている、とも伝えられています。
テスラは積極的にアップデートを続ける
このFSDのほかにもテスラは様々なアップデートを続けていて、直近でリリースされたソフトウェア・アップデート(2022.40.1)が非常に有用だと話題になっていますが、これは「各DC急速充電ステーションの出力を考慮し、熱制御を自動で行う」もの。
EVの急速充電には熱の管理が不可欠であり、テスラはハードウェアの機能を再設計するのではなく、車両のソフトウェア設定に手を加えることでこの改善を実現したと報じられており、このアップデートによって、より速く、より効率的に充電できるようになったもよう。
こういったアップデートは「車体(ハード)と制御系(ソフトウエア)を自社で設計する」テスラならではだと言え、ソフトを外注している多くの自動車メーカーではなかなか実現できないことかもしれません。
今回のアップデートにつき、テスラによれば、"DC急速充電中、サーマルシステム制御は各充電ステーションの電力能力に合わせて最適化され、充電とオンルートバッテリー・プリコンディショニングの両方の効率が改善され、この結果、充電時間の短縮とエネルギーコストの削減が実現する"とのことで、要は充電コストが引き下げられるという解釈で間違いなさそう。
そのほか、「ドライブドアアンロックモード」のアップデートがあり、この機能を有効にすると、運転席側のドアのロックボタンを長押しして、すべてのドアのロックを解除し、同時にトランクを開けることができる、とのこと。
さらには駐車中の車内外を監視するセントリーモード、そしてドッグモードも改善さており、従来はドッグモードとセントリーモードを同時に有効にすることはできず、しかし今回のアップデートによって両方の機能を同時に有効にすることができ、愛犬を快適かつ安全に保ちつつ、クルマを監視できるようになったのだそう(以前はワンコにセンサーが反応してしまい、正しくセントリーモードを使用できなかったのかもしれない)。
そしてドッグモードとセントリーモードを同時に作動させると、問題が発生する可能性がある場合は警告が表示され、セントリーモード機能でビデオ映像が撮影・保存されるものの、ワンコを驚かせてはいけないので「アラーム音が鳴らない設定になる」と紹介されており、ペットにやさしいアップデートだと言えそうですね。
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参照:Automotive News, Drive Tesla Canada