Image:Corvette
| シボレーがコルベットZR1に用いたのは非常にシンプルな「デカいタービンを装着する」という手法だった |
これぞまさに「アメリカンマッスル」である
さて、シボレーは現時点での最強モデル「ZR1」を発表したところであり、これは「ノンハイブリッドで」1,064馬力を発生するというとんでもないスーパーカーであり、そしてこの心臓部のベースとなるのはZ06に積まれる670馬力のフラットプレーンクランクV8です(LT6)。
つまりこのLT6を加給して1,064馬力を発生させているわけですが、この出力向上を考慮すると「そうとうに大きなターボチャージャー」が装着されていることが推測でき、実際のところ供給元のボルグワーナーによって「自動車(乗用車)史上最大のターボチャージャー」であることが明らかに。
コルベットZR1に装着されるターボチャージャーはこんな仕様を持っている
そこでこのターボチャージャーについてもう少し深く掘り下げてみると、コンプレッサーホイールは76ミリで、これはヘネシー・ヴェノムF5に用いられるものと同じサイズなのだそう。
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コンプレッサーホイールそのものは鍛造および切削加工によって製造され、ポート加工が施されたシュラウドを持ち、これによってコンプレッサーの下流からの空気が再循環し、サージ(ターボチャージャー内部の気流の乱れを指し、バックプレッシャーを増加させる原因となる)を防ぐことができると説明されています。
ちなみにこのサージはエネルギーを浪費し、不要な振動や揺れを引き起こし、さらには摩耗を増加させる可能性を含むことが知られますが、「ポート加工が施されたシュラウド」によって高いブースト圧を低RPMや軽いスロットル負荷で運転できるようになる、とのこと。
ただ、この代償として「ターボノイズ」が増加してしまい、しかしシボレーは「より高い信頼性」を重視してこの構造を採用することに決め、ボルグワーナーもまたインディカーシリーズのサプライヤーを務めるこによってこの重要性を学んだのだと思われます。
加えて各ターボチャージャーは、コンプレッサーに取り付けられたブレード通過速度センサーを備えており、タービンの回転速度を正確に監視することが可能となっていて、これによってパワートレインの潜在能力を最大限に活用できるようになりますが、温度と気圧による制御も加わり、「通常の」動作温度及び気圧下では20psi、空気密度が(高高度など)低下した場合には24psiまでブースト圧が上昇して通常時と同じ質量の空気流量を確保するそうですが、この制御は「電子制御を導入することによって可能になった」とされています。
なお、近年「ターボ」は様々な進化を見せていて、その代表例は「伝統ターボ」。
これは主にハイブリッドシステムと組み合わされることで「大容量バッテリー」による電力と電圧を利用して強制的にターボを回転させるというロジックを持っており、もしかすると今後登場する「ラスボス」、コルベット Zoraには(ハイブリッド化されることで)この電動ターボが搭載され、さらなる高出力を獲得することになるのかもしれませんね。
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