| しかし中古EVは(新車価格からの)下落率が大きいものと推測される |
ただし今後は「低価格EV」が多数登場すると見られ、状況は流動的である
さて、現在の自動車業界は紆余曲折がありつつも「電動化」に向かうことは間違いなく、しかしEVの普及を妨げる二大要素が「価格の高さ」「航続距離の短さ」。
そして今回、やはりそのコストが(ガソリン車に比較して)高価であるということが浮き彫りになっており、昨今のように「生活費が上がる割に給料が増えない」状況では、EV普及に対する足かせにならないとも限りません。
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やはりEVの購入コストは「安くない」
現在多くのリサーチ会社、そしてアナリストが「最終的にはEVが市場を席巻する」と主張していて、たしかにその考え方は間違っていないものの、まだまだ短期間での普及は難しいのかもしれません。
今回発表された調査内容によると、EVの価格は確かに下がりつつあるものの、それでもガソリン車に比べて依然として高額であることが明らかになっています。
この統計はコックス・オートモーティブが発表したもので、2024年12月の(米国市場での)新車および中古EVの販売データを分析した結果、新車EVの平均販売価格が 55,544ドル(現在の為替レートだと約863万円) であることが明らかになり、これはガソリン車の49,270ドル(約766万円)よりも6,274ドル(約105万円) 高い価格です。
ちなみに中古市場においても「EVのほうがガソリン車よりも高額」という傾向はかわらないそうで(あれだけ中古EVが安いと言われていることを考慮すると意外である)、中古EV(5年以内)の平均販売金額は36,976ドル、それに対してガソリン車(やはり5年以内)は32,712ドル。
ただし中古EVの価格は2024年12月に限っていうと「前年比8.9%の下落」だとされるので、中古EV全般として価格が下がっていることも事実だと言えそうです(ただ、市場に出回る中古EVのほとんどがテスラ車だと思われるため、ここから他社製EVが出回ってくるに際し、この数字は大きく変わるのかも)。
なお、コックス・オートモーティブ自身も今回の調査結果が「公平ではない」ことを認めており、それは「ガソリン車市場には低価格モデルが多数存在するため、平均価格が自然と低くなっているのに対し、EVだと低価格モデルがそもそも存在しない」から。
そう考えるならば、やはり中古EVの「(新車からの)価格下落率」は非常に大きいのかもしれませんね。
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参考までに、北米市場では「トランプ大統領就任後、EVの税制控除が廃止されるかもしれない」という観測のもと、昨年12月に”駆け込み”需要が生じたとされていますが(実際にはいまだ税制控除は維持されている)、実際にEVの販売は前年比で12%伸びるなど大きな成長を見せていて、新車市場におけるEVのシェアは8.8%にも達しています。
なお、新車市場での人気EVトップ5はこのとおりで・・・。
- テスラ・モデルY
- テスラ・モデル3
- ホンダ・プロローグ
- フォード・マスタング Mach-E
- シボレー・エクイノックス
中古EV市場だとこんな感じ(中古EVの販売台数は前年同月比 62.6%増という驚異的な伸びを示している)。
- テスラ・モデル3
- テスラ・モデルY
- シボレー・ボルト
- テスラ・モデルS
- フォード・マスタング Mach-E
ただ、ここからは「安価な新型EV」が登場し、そしてどんどんEVの製造コストが下がるものと思われ(それにあわせて新車価格も下がってゆく)、しかし一方でガソリン車は規制強化によって製造コストが高くなってゆくのかもしれず(政策次第)、どこかで”逆転現象”が生じるのかもしれません。
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