
| ポルシェはこれまでにも多数の「ニュルブルクリンク最速」記録を塗り替えている |
そして今でも虎視眈々と「ニュル最速」を達成する機会を伺っているに違いない
さて、ポルシェは“グリーン・ヘル”と呼ばれるニュルブルクリンク(ノルドシュトライフェ)のラップタイムにおいて強いこだわりを持っており、「記録を破られたらやりかえす」という徹底抗戦の姿勢からもその意思を感じ取ることができるかと思います。
ただ、そこでちょっと疑問に思うのが「いつからポルシェはニュルブルクリンクのタイムに固執するようになったのか」。
この歴史を追ってみると1983年にまで遡ることができ、ポルシェ956のドライバー、シュテファン・ベロフが「神の一周(Lap of the Gods)」と称されるラップを樹立したことにはじまるようですね(この記録は35年間破られなかった)。
ポルシェのニュルブルクリンク「トップ10」とは
その後ポルシェは次々とニュルブルクリンクにおける記録を塗り替えていて、これまでには「市販車」「レーシングカー」「サルーン」「SUV」「EV」など様々なジャンルにおける最速記録を確立しており、そのうちいくつかは「未だ有効」。
実際のところ、ニュルブルクリンクの市販車最速ランキング上位で「もっとも多く見られるのはポルシェ」であるといった状況でもありますが(残念ながら現在の王座はポルシェではない)、ここでポルシェの「歴代」トップ10(市販車やレーシングカー含む総合)を見てみましょう。
10.2024年式 ポルシェ パナメーラ ターボS E-ハイブリッド
ラップタイム:07:24.17
- パワートレイン:4.0L V8ツインターボ + 電動モーター
- 最高出力:771馬力
- 最大トルク:1,000Nm(738 lb-ft)
- 0-100km/h:2.8秒
- 最高速度:327km/h(203mph)
ラース・カーンがステアリングを握り、ハイブリッド・サルーンとして新記録を樹立。
専用のカーボンファイバー製エアロパーツとミシュラン製UHPタイヤ、さらにポルシェ アクティブライド・サスペンションを装備し、驚異的なハンドリング性能を実現しています。
Image:Porsche
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9.2017年式 ポルシェ 911 ターボS
ラップタイム:07:17.11
- エンジン:3.8L フラット6ツインターボ
- 出力:580馬力
- トルク:750Nm(553 lb-ft)※オーバーブースト機能含む
- 0-100km/h:2.5秒
- 最高速度:330km/h
日常使いにも対応する万能スポーツカー。
圧倒的なトラクションとPDKトランスミッションによるストレスフリーな加速と快適性を両立しつつ、サーキットでのラップタイムも速いという驚異的なクルマですね。
Image:Porsche
8.2006年式 ポルシェ カレラGT
ラップタイム:07:12.69(2024年更新)
- エンジン:5.7L V10自然吸気
- 出力:603馬力
- トルク:590Nm(435 lb-ft)
- 0-100km/h:3.5秒
- 最高速度:330km/h
V10サウンドとアグレッシブな挙動が特徴で、2000年代初期のスーパーカーながら、最新タイヤを装着し2024年には(発売時に記録した数字から)16秒もタイムを短縮し、そのポテンシャルの高さを見せつけています(さらに驚かされるのは、マニュアル・トランスミッション搭載車ということである)。
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7.ポルシェ タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ
ラップタイム:07:07.55
- モーター構成:前後に電動モーター
- 出力:1,010馬力(アタックモード)
- トルク:1,340Nm(988 lb-ft)
- 0-100km/h:2.1秒
- 最高速度:306km/h
このタイカン・ターボGTは「4ドア」ながらもリヤシートレスという反則級の”ヴァイザッハ仕様”にて軽量化を実現することでタイムを圧縮。
そもそもがニュルブルクリンクをターゲットに開発されたグレードであると考えてもよく、テスラ・モデルSプレイドやルーシッド・エアといったハイパワーEVにも挑むべく登場しています。
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6.ポルシェ 718 ケイマン GT4 RS
ラップタイム:06:58.29
- エンジン:4.0L フラット6自然吸気
- 出力:493馬力
- トルク:450Nm(332 lb-ft)
- 0-100km/h:3.4秒
- 最高速度:317km/h
911 RSR譲りの9,000rpmまで回る高回転型NAユニットを搭載し、リア駆動・軽量ボディ・専用エアロでピュアなドライビングフィールを実現していますが、なんといっても「豪快な吸気音」が魅力です。
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5. ポルシェ 918 スパイダー ヴァイザッハパッケージ
ラップタイム:06:57.12
- パワートレイン:4.6L V8 + 前後電動モーター
- 出力:887馬力
- トルク:1,280Nm(944 lb-ft)
- 0-100km/h:2.6秒
- 最高速度:340km/h
プラグインハイブリッドを搭載する当時のフラッグシップであり、ヴァイザッハパッケージを装着することで「市販車ではじめて7分を切った」クルマに。
特筆すべきはそれまでのポルシェのセオリーである「パワーアップ、軽量化、固めた足回り」という手法ではなく「ハイブリッドパワートレーン」というテクノロジーをもって記録を達成したことで、これが今後のポルシェの方向性を決定づけたといっていいかもしれません(これ以降、ポルシェは自社のフラッグシップにつき、いかに速くとも最新のテクノロジーを持たないのであれば意味はなく、フラッグシップとは未来志向のクルマであると認識するようになる)。
Image:Porsche
4.2025年式 ポルシェ 911 GT3(ヴァイザッハパッケージ)
ラップタイム:06:56.29
- エンジン:4.0L フラット6自然吸気
- 出力:502馬力
- トルク:450Nm(331 lb-ft)
- 0-100km/h:3.7秒
- 最高速度:311km/h
- トランスミッション:6速MT
つい先日史上最速の“マニュアル車”ラップタイムを更新したと発表されたばかりではありますが、こういった記録を狙うところからもポルシェの「ニュルブルクリンクに対する強いこだわり」がわかりますね。
Image:Porsche
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3.ポルシェ 911 GT2 RS MR(マンタイ・レーシング)
ラップタイム:06:38.83
- エンジン:3.8L フラット6ツインターボ
- 出力:700馬力
- トルク:750Nm(553 lb-ft)
- 0-100km/h:2.8秒
- 最高速度:341km/h
(ポルシェ傘下にあるレーシングファクトリーの)マンタイ・レーシングがリリースするサーキット用アップグレード、MRキットを装着して達成した記録ですが、このMRキットはサスペンションやエアロ、ブレーキを強化し、レースカー並のパフォーマンスを発揮するという「ニュル必勝パッケージ」。※マンタイ・レーシングはニュルブルクリンクに非常に強いファクトリーである
こういったキットを発表するあたり、やはりポルシェの「どうしてもニュルブルクリンクでのタイム短縮を狙いたい」という意思が伝わってきます。
Image:Porsche
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2.ポルシェ 956(1983年)
ラップタイム:06:11.13
- エンジン:2.65L フラット6ツインターボ
- 出力:625馬力
- 0-100km/h(推定):3.5秒
- 最高速度:354km/h
シュテファン・ベロフが記録した伝説のラップ。
トラフィックに阻まれながらも、このタイムを記録したのは驚異的で、しかも35年もの間破られることはなかったという「常識外れの」記録です。

Image:Porsche
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1.ポルシェ 919 ハイブリッドEvo(2018年)
ラップタイム:05:19.55
- パワートレイン:2.0L V4ターボ + 電動モーター
- 出力:1,144馬力
- 最高速度:373km/h(推定)
ポルシェ956のタイムを35年ぶりに更新したのがこの919ハイブリッドEVO。
ル・マンを制覇したレーシングカー、919ハイブリッドをベースとし、「(モータースポーツの規定などによる)制限なし」にてポルシェ自らが改造した究極のマシンです。
ティモ・ベルンハルトのドライブにより「前人未到の5分台」にてニュルブルクリンクを駆け抜けていますが、この記録を破ることはもはや不可能に近いかもしれませんね。
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参照:Carbuzz