
| アウディ コンセプトCは「TTの後継ではない」 |
まだまだアウディがどこまでスポーツカーに対して注力するのかは不明である
さて、アウディは意欲的なコンセプトカー「コンセプトC」を発表したところですが、これは「当時、危機にあったアウディを救った初代TT」の再来をイメージしたもので、プロジェクトそのものが「TTモーメント 2.0」と命名されています。
そして当時「TTがアウディを救った」のはTTそのものの販売実績ではなく、TTの登場によって、当時つまらない自動車メーカーだと認識されていたアウディに注目を集めさせ、その存在感を一気に強めさせたこと、さらにアウディが核としていた「ターボ四駆」のパフォーマンスを広く認識させたこと、そしてなによりそのデザインが自動車業態にとって「革命」とも呼べるレベルにあり、そういったクルマがアウディから登場することで「アウディ自身も生まれ変わった」と消費者に理解させたことにあるかと理解しています。
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つまるところ、初代TTはアウディに対する人々の認識を一変させる「イメージ面や概念としての」リーダーであり、そして現在のアウディはコンセプトCによって、再び当時と同じ革命を起こそうとしているわけですね。
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R8後継はまだ消えていない
RS6アバント・パフォーマンスは依然としてラインナップに残るものの、2023年にTT(クーペ/コンバーチブル)とR8を生産終了して以来、アウディにとって純粋なスポーツカーは不在の状態。
しかし、その状況が間もなく変わる可能性が非常に高く、アウディはIAAモビリティで新型スポーツカー「コンセプトC」を公開し、これを「新しい市販車の具体的なプレビュー」と位置付けていて、「実際に発売する」とも明言しています。
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ただし現時点ではこのコンセプトCがどういったスペックをもって登場するのか明かされておらず、現時点では「かつてのTTとR8との中間くらいのポジション」だとされ、つまり「コンセプトC」は熱烈なファンが望む“新型R8”そのものではないことがわかっています(R8が持っていたデザイン要素を持ち、生産を予定しているのはR8の製造を行っていた工場ではあるが)。
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アウディはハイパフォーマンスカーを諦めない
その一方でアウディはR8後継の可能性を完全に否定しておらず、TopGearのインタビューにて、アウディCEOゲルノート・デルナー氏は「スーパースポーツ投入の余地は残されている」とコメント。
これは同メディアが「ランボルギーニの新型スーパーカー、テメラリオをベースとしたR8後継の可能性」についての問いかけに対する返答であり、以下のように語っています。
「もちろんそのようなクルマの居場所はある。しかし今はコアセグメントと新しいデザイン言語を量産車へ導入することに集中する必要があります」
これまでのアウディR8二世代はいずれも「ベイビーランボ(ガヤルド、ウラカン)」をベースとしており、最新のベイビーランボであるテメラリオをベースにした新世代のR8についても「否定はせず」、しかしこのコメントを見ると、R8後継モデルの開発については「可能性はゼロではないが、優先順位がトップでもない」ということがわかりますね。※ただしテメラリオは(当時のアウディの方向性もあって)アウディとのプラットフォーム共有を最初から排除して設計されたスポーツカーであると思われる
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コンセプトCは「TT後継」ではない
上述の通り、コンセプトCはTTが起こした「革命」を再び目指した存在であり、一見してTTを彷彿とさせるデザインを持っていますが、アウディはこれをTTの後継とすることを否定しています。
ゲルノート・デルナー氏によれば、「このクルマはパフォーマンス面でTTとR8のちょうど中間に位置する。TTの後継ではなく、TTという名前も使わない」。
加えて正式名称は未定ではあるものの、「Rから始まる可能性もあるし、まったく新しい名前になるかもしれない」と述べています。
コンセプトCの市販化は2027年を予定
ゲルノート・デルナー氏はすでに「コンセプトC」を2027年に投入予定だと発表していますが、今回さらにヒョンデ「アイオニック5 N」にも見られるような「バーチャルギアボックス」や「バーチャルエンジンサウンド」を導入する可能性を示唆。
特に、現行RS3に搭載されている名機「直列5気筒エンジン」のサウンドをソフトウェアで再現する構想についても言及し、「排ガス規制で(5気筒エンジンが)消えるかもしれないが、バーチャルで復活させることができる」ともコメントしています。
まとめ
アウディ「コンセプトC」は、R8の直接的な後継でもTTの再来でもなく、新しいスポーツカーの方向性を示す存在です。
2027年に登場予定のこのモデルは、電動化時代におけるアウディのスポーツカー戦略の象徴、そしてアウディそのものに革新をもたらす存在として位置づけられており、その登場には大きな期待がかかります。
そしてその一方、ファン待望のR8後継モデルも「今もなお“消えていない可能性」が明らかになり、今後のアウディのスポーツカー戦略には注視してゆきたいと思います(F1参戦もあり、アウディはスポーツイメージを今まで以上に押し出してくる可能性がある)。
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参照:TopGear

















