
| 新型プレリュードは「高すぎる」という批判にさらされてはいたが |
ホンダの「思惑」が当たったのだと考えていいだろう
さて、9月5日に発売された新型プレリュード。
「617万円」という高価な設定のため、「この価格だったら他のクルマを買う」「中古車でもっとパフォーマンスに優れるクルマを探す」という声が聞かれたものの、いざ蓋を開けてみると「1ヶ月で月間目標販売台数の8倍」という好調な数字が報告されています。
-
-
新型ホンダ プレリュードを見てきた。「ハンマーヘッド顔」が新鮮、なかなかにカッコいい。気になるのはその値段ではあるが【動画】
| ボクにとって「プレリュード」は特別なクルマでもある | 追加情報、そして実際の試乗をもって「購入するかどうか」を判断したい さて、新型ホンダ プレリュードを見に大阪 梅田の地下街へ。展示されている ...
続きを見る
たしかに目標自体は高くないが
ホンダによると新型プレリュードの月間目標販売台数は300台、それに対して現在2,400台の受注が集まっているとのことですが、この「300台」というのはそこまで高くない数字。
参考までに、2025年4月-6月ではシビックの月平均販売台数が1,451台、マツダ・ロードスターが930台、そして(今年のデータが取れなかったので)2024年通年だとGR86は月平均で733台を販売しています。
この数字を見ると、「シビックよりも用途が狭く(2ドア)、GR86やロードスターより大幅に高い」というビハインドを持つことを前提としても、300台というのはやや控えめかもしれません(2025年9月の国内乗用車登録50位の三菱アウトランダーは791台を売っている)。
ホンダはスポーツカーに対して「積極的」ではない
ただ、ホンダはかねてより「慎重」な会社であり、S660発売時も「想定を大幅に超える受注」を集め、その際にも「納車待ち期間を短くするため」増産を行わないのかとメディアに尋ねられたことがあり、しかしその際には「スポーツカーの需要は一過性であり、すぐに注文状況が落ち着くので増産はしない」と語ったことも。
事実「その通り」となったわけですが、ホンダは幾度かの経験を経て「スポーツカーの需要は平均するとこんなもの」と客観的に捉えているのかもしれません。※しかし今回、ホンダは「増産を検討」とコメントしており、これが「転売を防ぐための方便」なのかどうかはナゾである
そしてこういった事情もあって、ホンダは「S2000復活」「NSXの後継モデル開発」に対して慎重な姿勢を見せているのかもしれませんね。
-
-
ホンダが2030年までのEV展開含を発表、しかしそこにNSX後継スポーツカーが含まれず「新型NSXの計画はなかったことに」?なおトヨタと異なりEVのみへまっしぐら
| あれほど強調されたNSX後継モデルの話にはいっさい触れておらず、ホンダは「0シリーズ」の立ち上げとともにNSXに関する計画を廃棄した? | 実際のところはわからないものの、おそらく今のホンダはスポ ...
続きを見る
参考までにですが、「国産プレミアムカー」とくにスポーツカーやスポーティモデルにつき、初期こそは受注が集まるものの、それ以降は販売が先細りしてゆくという傾向があって、レクサスLCも「発売後、計画販売台数の19倍の受注」を集めたという報道がなされていましたが、その後は「御存知の通り」。
一方、比較的入手しやすい価格帯のスポーツカーは「サードパーティ製パーツの拡充」「中古市場での選択肢の多様化」等様々な要素によって「息が長い」販売を実現できる可能性があり(人気や話題が失われにくい)、これは実際にGR86、ロードスターの状況を見てもわかるとおりです。
-
-
マツダ・ロードスターは今月で販売120万台を達成。ND世代になってからはじめてモデルチェンジで販売が伸び、マツダの思想がいかに正しかったかが証明される
| ちなみにマツダ・ロードスターはポルシェ911と同時期に100万台を達成し、そしてまた同時期に120万台を達成 | さらにロードスターは「もっとも売れたオープンスポーツ」としてギネス記録にも認定され ...
続きを見る
新型プレリュードは「どんな人」が買っているのか
そしてホンダは「新型プレリュードの受注内容」についても明かしており、同社によれば購入層は「主に50代と60代」。
ホンダは新型プレリュード発表時、「若い世代」に加えて「プレリュード現役当時、プレリュードに乗っていた人」をターゲットとしていることを明言していて、よって現在の購入層は「目論見通り」なのだと思われます。
実際のところ、新型プレリュードの価格は「かなり高く」、よって若年層や、子育てにお金がかかる層には手を出しにくいものと思われ、かつ「ハイブリッド+AT」というところから、GR86やロードスターと同様の客層にはリーチしないと考えていたのだと推測可能。
そこで導入された仕様が「プレミアム感」や「スーツケースを載せることが可能」「ゴルフバッグを2つ積める」等のパッケージング、そして「スペシャルティ」というキーワードなのだとも思われます。
こういった諸々の事情を考慮すると、ホンダは新型プレリュードにつき、企画段階からマーケティングに至るまで、「かなり練り込み」、そして成功に導いたのだとも考えられ、今回の「目標の8倍の受注」は(予想を超えるものではありますが)ある意味での”計画通り”の結果なのかもしれません。
なお、ボディカラー別の販売状況だと「ムーンリットホワイト・パール」が63%、メテオリオドグレー・メタリックが16%、クリスタルブラック・パールが11%、フレームレッドが10%だとアナウンスされています。
あわせて読みたい、ホンダ・プレリュード関連投稿
-
-
ホンダ、復活したプレリュードが早くもレース仕様に。わずか2年でシビック タイプR-GTを”退役”させてプレリュード-GTを投入する意義とは
Image:Honda Racing | 新型プレリュード、デビュー直後にGT500仕様を発表 | 実際には「市販バージョンのプレリュード」とは別モノである 2026年のSuper GTシリーズに向け ...
続きを見る
-
-
新型ホンダ・プレリュードには「シビック・タイプR」の足回りが移植されることが公式に明かされる。ハイブリッドなるも「事実上のタイプR」と呼べる存在に?
Image:Honda | けっこう「本気」のハイブリッドスポーツ、その走りには期待ができそうだ | 一方で「安いクルマ」ではなくシビック・タイプRに近い価格設定となるのかも ホンダが待望の新型クーペ ...
続きを見る
-
-
「新型プレリュードに搭載したのはときめきです。」ホンダがプレリュードの先行情報サイトを公開、展示イベントや内外装カラー、オプションなどが明らかに
Image:Honda | 2台のプレリュードに乗ってきたボクにとっては見逃せない新型車である | 新型プレリュードのグランドコンセプトは「グライダー」 さて、ホンダが新型プレリュードの発表を目前に「 ...
続きを見る
参照:HONDA