| あれほど強調されたNSX後継モデルの話にはいっさい触れておらず、ホンダは「0シリーズ」の立ち上げとともにNSXに関する計画を廃棄した? |
実際のところはわからないものの、おそらく今のホンダはスポーツカーに対して情熱を持っていないのだろう
さて、ホンダが「電動化に向けた取り組みの方向性と財務戦略について」という新しいビジネスプランを発表しており、ここではいくつかの興味深い事実が語られています。
簡単に言うと「2040年にEV/FCEVの販売比率を100%とする」という目標に変わりはなく、そしてそれを実現するために電動化に対する投資を当初計画の2倍に相当する10兆円とし、ワールドワイドではグローバルEV「Honda 0シリーズ」から7車種投入し、さらには日本専用として超小型モビリティを投入するという内容から成り立っていますが、ここでぼくが思ったのは「NSXが(2030年までの)計画に含まれていない」ということ。
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NSX後継として以前に公式に語られた「フラッグシップ」たる電動モデルの計画自体が無かったことにされてしまったのか、あるいは今回の(0シリーズとは別の)計画として実行されるのか(ただし0シリーズの中核はスポーツカーになるともアナウンスされていた)、はたまた「電動」ではなく「ガソリン(あるいはマイルドハイブリッド)」となるのか(プレリュードも実際にはBEVではなくハイブリッドになった)など疑問は尽きず、しかし今回全く触れられなかったということは「その件は無かったこと」ということなのかもしれません。
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ホンダはどういった計画を持っているのか
そこで今回ホンダが発表した計画をかいつまんで紹介したいと思いますが、まず(上述の通り)ホンダは外の自動車メーカーのように電動化のスピードを緩めるつもりはなく、当初の計画通り2040年までにガソリン車を廃止することとなります。
そして今回発表された計画は「それを実現するためにどうするか」ということになり、まずはバッテリーに関するバリューチェーンを垂直統合し北米でのバッテリー調達コストを20%削減、さらに全体の生産コストを35%削減することを目標とするもよう。
そして重要なのがグローバルEV「Honda 0シリーズ」の展開で、2030年までのグローバルでの展開はこうなっており、つまりスポーツカーの「ス」の字もないという状況です。
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そして日本では独自の小型、あるいは超小型(マイクロ)モビリティの展開を行うことについても言及。
そのほか中国についてはこんな感じ。
なお、ホンダの代表執行役社長、三部敏宏氏が今回の計画発表に際し以下の通りに述べており、ホンダとしては電動化に対して非常に強い意識を持って取り組もうということになり、トヨタの「マルチパワートレーン戦略」とは全く異なる方針を持つということがわかりますね。
電動化を取り巻く激しい環境変化の中、一部地域では足元のEV市場の成長について減速感を指摘する声もあります。Hondaの掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けてはさまざまなアプローチがあり、モビリティの環境負荷ゼロに向けては、航空機や船舶などの大型モビリティにおいては航続距離の観点からSAF(持続可能な航空機燃料)やe-fuelなどが有望視されるなど、多様なソリューションに対応していく必要があります。
HONDA
一方で、二輪・四輪などの小型モビリティについて、HondaはEVが最も有効なソリューションであるという考え方は変わらず、長期的視点で見ればEVシフトは着実に進んでいくと確信しています。足元の状況変化に捉われ過ぎることなく、2020年代後半以降に訪れるEV普及期を見据えた中長期的な視野で、強いEVブランド、事業基盤の構築が必要です。
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参照:Honda