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水平対向は終わらない。スバルが「ICEとEV」のSTIコンセプトをジャパンモビリティショーにて同時発表。以前のコンセプトは「なかったこと」に?

水平対向は終わらない。スバルが「ICEとEV」のSTIコンセプトをジャパンモビリティショーにて同時発表。以前のコンセプトは「なかったこと」に?

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| 2023年の「スポーツモビリティコンセプト」は何だったのか |

はじめに:「STIは電動化へ」の方針は変わったのか?

2025年ジャパンモビリティショー(JMS)を目前に控え、日本の自動車メーカー各社が立て続けに刺激的なティザー(予告)画像を公開しているのが現在の状況です。

トヨタが電動カローラとセンチュリークーペを、マツダが流麗な4ドアコンセプトを予告する中、スバルが投じたのは「STI」を冠する2台のハイパフォーマンス・コンセプトカーのシルエット。

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スバルは「まさかの」内燃機関版STIを投入?

特筆すべきはそのラインナップで、一台は電気自動車(EV)、もう一台はまさかの内燃機関(ICE)。

数ヶ月前、スバルはSTIのブランドを将来的にEV専用とすると示唆しており、そして現行WRXを発売した際にも「2035年には内燃機関の販売禁止が多くの国や地域で導入されるため、開発コストを吸収できないという理由にてSTI(の内燃機関バージョン)を投入しない」とコメントしています。

ただ、そこから時代は大きく変わり、ユーロ7の緩和、そして内燃機関販売禁止の見送り(先延ばし)検討といった状況の変化が生じていて、そのためスバルもほかの自動車メーカー同様、「内燃機関存続」へと方針転換を行うのかもしれません。

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1. 2つのパフォーマンス像:Performance-EとPerformance-B

スバルはジャパンモビリティショー2025にて「Performance(パフォーマンス)」と「Adventure(アドベンチャー)」という2つのシーンを際立たせる展示を行いますが、そのパフォーマンスシーンの主役となるのが世界初公開となる2台のSTIコンセプト。

コンセプト名パワートレイン概要(推測)特徴的なデザイン要素
Performance-E STI ConceptBEV(電気自動車)STIブランドの電動化の未来を牽引するファストバックEV。細いヘッドライト、シャープで角ばったフロントバンパー、ゴールドのエアロカバー付きホイール。高い空力性能を予感させるプロポーション。
Performance-B STI ConceptICE(内燃機関)スバルの伝統的なパフォーマンスを象徴する、水平対向ターボエンジン搭載のホットハッチ。大型ルーフスポイラー、ブリスターフェンダー、ボンネットスクープ両脇のエアベント。GRカローラに対抗するWRXベースのハッチバックと推測。

Performance-E:未来の「意のままに操る」感覚

Performance-E STI ConceptはバッテリーEVをベースとしており、「新世代を牽引する」パフォーマンスの未来を表現しています。シルエットは流麗なファストバックを採用し、EVならではの緻密なトルク制御による「意のままに操れる感動の運転体験」を提案するとされ、ヘリテージを想起させつつも、高い空力性能と実用性を両立したデザインに注目が集まります。

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Performance-B:水平対向とAWDの再定義

一方で、Performance-B STI Conceptは、スバルの資産である水平対向ターボエンジンとシンメトリカルAWDを搭載した内燃機関モデル。

特筆すべきはそのボディ形状で、昨年の東京オートサロンで発表された「S210 special edition」がWRXベースのセダン(しかもCVT専売)だったのに対し、こちらは大型のルーフスポイラーを持つハッチバックのプロポーションを呈しています。

これは、昨年末に発表された謎のプロトタイプ(WRXベースのハッチバックの噂)の「答え合わせ」となる可能性が高いと見られています。

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2. 議論の焦点:ICE復活とSTIブランドの立ち位置

ただ、今回のティーザーで最も驚きを持って迎えられたのは、ICEモデル(Performance-B)の存在です。

スバルはかつて、(上述の通り)厳格化する排出ガス規制等を理由にWRX STI(セダン)の次期型開発を断念し、将来的にSTIのバッジを電動車に限定する方向性を示していましたが、しかし今回のICEコンセプトの発表は、その硬直的な方針から柔軟に転換したことを示唆していると考えてよく、その将来の方向性には以下の可能性が考えられます。

  1. ハイブリッド/PHEV化の示唆:単なるガソリン車ではなく、電動化技術を組み合わせた高性能ハイブリッド(e-BOXER強化版など)である可能性。これにより、排出ガス規制とハイパフォーマンスを両立させる
  2. モータースポーツとの連携:S210のような少量生産の特別モデルとして、モータースポーツの技術をフィードバックし続ける「生きるショールーム」としてICEを残す戦略
  3. 内燃機関ファンの「共感」の確保:「ブランドを際立たせる」というテーマに基づき、伝統的なファン層との絆を繋ぎ止めるための重要なメッセージ

スバルは、水平対向エンジンとAWDという独自のアセットをどのように電動化時代に移行・継承させていくのか。

この2台のコンセプトモデルは、その岐路に立つスバルの「選択肢」そのものを提示していると言えますが、ぼくが注目したいもう一つの要素はその「デザイン」。

Performance-E STI conceptのデザインは非常にシャープであり、これは2023年の「スポーツモビリティ・コンセプト」とは全く異なる方向性を持っていて、「よりスポーツカーらしい」ウエッジシェイプを持つようにも。

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スバルはこのスポーツモビリティ・コンセプトのデザインをソルテラのマイナーチェンジ版にも一部適用したものの、今後は方針転換にあわせてEVのデザインも一新するのかもしれません。

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3. まとめ:JMS 2025でスバルの未来が明らかに

STIコンセプトの2台は、10月29日から始まるジャパンモビリティショーの会場にて、トレイルシーカー(BEVの新規車種)、フォレスター/アウトバックのウィルダネスモデル、そしてヘリテージカーである1983 GLファミリーハックスターと共に展示予定。

「高性能なEVと、スバル伝統のホットハッチを思わせるICEモデル」というこれらのコンセプトをスバルが今後どのように市販車に落とし込んでいくのか、そして「STI」のバッジを真にEV時代へと繋ぎ止められるのか。

JMS 2025での正式発表に、世界中のスバリスト(スバルファン)の視線が集中することとなりそうです。

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参照:SUBARU

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