
| 乗用車の世界に「4WD」を持ち込んだのはスバルが「初」である |
この記事のポイント
- 誕生のきっかけ: 東北電力の「ランクルより快適な雪道車を」という要望から生まれた
- 技術の飛躍: 原始的な手動レバーから電子制御、そして「滑る前に防ぐ」AIの領域へ
- WRCのDNA: ラリーで培われたDCCD(ドライバー制御デフ)が走りの楽しさを確立
- 未来の姿: 電動化とAIの融合により、ドライバーの癖まで学習する「意思を持つAWD」へ
なぜスバルのAWDは世界中で「別格」とされるのか?
「雪道ならスバル」——この信頼は一朝一夕に築かれたものではなく、スバルが独自に4WD技術を発展させてきた「努力の結晶」です。
そしてその努力が結実し、スバルのクルマは高い走破性を評価され、それがファンと実需を生むことで「中古市場での高い人気と評価」を生み出すことに。
今日、ぼくらがクルマ任せで恩恵に預かっているスバルの「シンメトリカルAWD(SAWD)」は、かつては無骨な「手動レバー」で切り替えるアナログな装置からスタートしていますが、ここでは東北電力の切実な悩みから始まったAWDの誕生秘話から、AIが路面状況を先読みする最新技術まで、スバルが歩んだ50年の技術的執念を紐解いてみたいと思います。
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始まりは「トヨタ・ランドクルーザー」への不満だった?
1960年代後半、東北電力はある悩みを抱えていたといい、送電線の保守点検に使用していたトヨタ・ランドクルーザーに対して従業員から「乗り心地が悪い」「隙間風がひどい」といった不満が噴出していたのだそう。
しかし積雪地帯の過酷な環境には4WDが不可欠でもあり、そこで白羽の矢が立ったのが当時前輪駆動(FF)で名を馳せていたスバル。
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改造車から生まれた「レオーネ」の奇跡
そこでスバルはFFをベースとし、他社パーツを組み合わせて4WD化したプロトタイプを制作。
これがトップ層に絶賛され、1972年に世界初の量産4WD乗用車「レオーネ・エステートバン」が誕生することとなるのですが、これが世界を席巻するスバルAWDの第一歩だったというわけですね。
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なお、スバルが「4WD」を「AWD」と呼ぶのは、「4WDという表現は、クロスカントリー四駆やトラックを連想させるから」だったといい、乗用車に搭載する全輪駆動システムでありクロカン四駆動やトラックとの差別化のために「AWD」と呼称したのだと伝えられています。※1975年のレオーネ セダン発売時には「4WD」という名称を用いており、1980年代までは「4WD」という表記が見られる。スバルの歴史はこちら(スバル公式)
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スバルAWD進化のスペック・歴史
50年以上にわたる主要な技術の変遷をまとめると以下の通り。
| 年代 | システム・技術 | 特徴 |
| 1972年 | 機械式パートタイム4WD | レバーで切り替える原始的かつ確実なシステム。 |
| 1987年 | ACT-4(電子制御) | センサーを駆使し、レバーから「ボタン」による操作へ進化。 |
| 1991年 | VTD-AWD | 不等トルク配分により、4WD特有の「曲がりにくさ」を解消。 |
| 1994年 | DCCD | ドライバーがセンターデフを任意にロック可能。ラリーの勝機。 |
| 2001年 | VDC(挙動制御) | ブレーキと連動し、滑った後に姿勢を立て直す。 |
| 2015年 | ATV(ベクタリング) | 滑る前にブレーキを制御し、曲がりやすさを能動的に創出。 |
| 未来 | AI + 電動AWD | AIが路面とドライバーの癖を学習し、リアルタイムで最適化。 |
性能とデザイン:アナログから「先読み」する知能へ
1990年代、スバルはWRC(世界ラリー選手権)への参戦を通じて、AWDを「単なる走破装置」から「速く走るための武器」へと昇華させています。
その象徴がDCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)で、路面状況に合わせてドライバー自身がトルク配分を細かく調整できるこの機能がモータースポーツファンを熱狂させたのも記憶に新しいところ。

さらに現代では、ATV(アクティブ・トルク・ベクタリング)へと進化しており、かつてのシステムが「滑ってから対処する(Reactive)」だったのに対し、現代のスバルは「滑る前に介入する(Proactive)」レベルに達しています。
結論:AIが「意思」を持ってドライバーを支える未来
スバルが描く次世代のAWDは、もはや単なる機械の組み合わせではなく、富士重工業(現SUBARU)が開発を進める最新システムは”AIとデュアルモーター(電動化)”を融合させたもの。
例えば、AIはこう判断します。
「今は雪道だ。次のカーブは凍結している可能性がある。さらにこのドライバーはアクセルを強く踏む癖がある。だから、今のうちにトルクを最適化しておこう。」
54年前にレバーをガチャガチャと動かしていた技術は、今、クルマ自身が考え、学び、ドライバーを守る「知能」へと進化したというわけですね。
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さらにスバルは「ブラット」「アルシオーネ」といった画期的なクルマを生み出したり、レガシによる速度記録、ビルシュタイン(マッキントッシュ)の標準装備化、さらにはアイサイトなど独自のチャレンジや装備でも知られています。
そのパイオニア精神が、現在の「スバリスト」と呼ばれる熱狂的なファンを生む土壌となり、現在へとつながっているわけですね。
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参照:CARBUZZ
















