
| M部門ボスの発言から見える“泥にまみれた”次世代フラッグシップ |
サーキットを主戦場としてきたBMW M部門がついに「泥と砂」の世界へ足を踏み入れるかもしれません。
2026年2月、BMW Mのフランク・ファン・ミールCEOは、ダカール・ラリーにインスパイアされた「M専用オフロードモデル」の可能性を公式に示唆し、伝統のカーボン・スプリッターに代わり、頑丈なスキッドプレート(アンダーガード)を纏った「M」が誕生する日はそう遠くないかもしれません。
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BMWが「X5誕生25周年」を祝いオフローダー風装備を追加した特別モデルを1000台のみ限定販売。オフローダーを持たないBMWにとってこの路線は「新たな可能性」でもある
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この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- Mの越境: 「Mの伝統はサーキットだけではない」としてダカール・ラリーを意識したオフロードMモデルの可能性をCEOが肯定
- 脱・サーキット: これまでの「SUV=速いオンロード車」という定義を覆し、メルセデス・ベンツGクラスやディフェンダー オクタを標的とした究極の悪路走破性を追求
- 伝統の死守: ただし、軽量・サーキット志向の「CS」や「CSL」バッジをSUVに付けることは断固拒否
- 2029年の伏線: 開発コード「G74」として噂される次世代ラグジュアリー・オフローダーが(生産終了予定の)XMに代わる新たなアイコンへ
BMW Mが描く「もう一つのモータースポーツ」
BMW「M」にとって、これまでモータースポーツの場といえばニュルブルクリンクやル・マンを指していましたが、CEOのフランク・ファン・ミール氏が今回カーメディアに対し「モータースポーツはWECやIMSAだけではない。ダカール・ラリーもまた、パフォーマンスの極致だ」とコメントし、オフロードマシンへのMバッジ採用を「十分に想像できる光景だ」と明言。
これは、ポルシェ「911 ダカール」やランボルギーニ「ウラカン・ステラート」のような、「スポーツカーのオフロード化」という近年のトレンドに対するBMWなりの回答と言えそうです。
なお、BMWは「オフロードへの憧れ」を隠そうとはしておらず、これまでにもオフロードを強く意識したコンセプトカーや限定車を発表していますね。
次世代オフローダー「G74(仮称)」の予測スペック
現在囁かれている、BMWが開発中の「ラグジュアリー・オフロードSUV」の概要をまとめると以下の通り。
| 項目 | 詳細予測 |
| 開発コード | G74 (通称:ラギッドSUV) |
| 競合車種 | メルセデス・ベンツ Gクラス, ランドローバー・ディフェンダー オクタ |
| プラットフォーム | 次世代X5と共有のモノコック(ラダーフレームではない) |
| パワートレイン | 直6/V8ハイブリッド、および次世代BEV(ノイエクラッセ) |
| 最高出力 | 610hp以上 (EV版) / 550hpクラス (PHEV版) |
| 主な装備 | ロングストロークエアサスペンション、3組のデフロック、専用オフロードモード |
| 登場予定 | 2029年後半(2027年頃にコンセプト発表か) |
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BMWが本気のオフローダーを開発か? メルセデス・ベンツGクラスやランドローバー・ディフェンダーの対抗馬「G74」発売のウワサ
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XMの「後継」としての立ち位置
2028年に生産終了が噂される「XM」は、サーキットでの速さとラグジュアリーを追求したモデルではあったものの、市場の反応は文字通りの「限定的」。
つまるところ、XMのコンセプトは”市場に受け入れられなかった”ということになり、次なるフラッグシップ「G74」では、そのベクトルを「冒険」へとシフトし、より実用的なタフさを武器にする計画なのかもしれません。
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BMW M専売モデル「第二弾」、XMは正直言って期待外れ?すべての意味においてBMWの思惑とは異なる方向へとものごとが動いてしまい、悪夢のような結果を招くことに
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なお、BMWに限らず、アウディ含むいくつかの自動車メーカー(ブランド)がラギッドなオフローダーの市場投入を検討していると言われており、これはやはり「メルセデス・ベンツ Gクラス」の成功、そして中東で高まる高級オフローダー需要に対応するためだと思われます。
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アウディもついにメルセデス・ベンツGクラスのライバル投入へ?「夢をあきらめるな」とCEOが語る新型オフローダー計画とは
| ここ最近のアウディは「これまでにない」動きを見せている | まさかアウディがGクラスに挑むとは さて、ここ最近「今までにない」動きを見せるアウディ。 大きなものとしては「コンセプトC」を発表し”T ...
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正直なところ、「XMでの教訓を活かし、SUVではなくスーパースポーツを作るべきでは」と考えたりするのですが、いかにサーキットとの関わりが深いBMWといえど、「ブランドイメージ向上に貢献するものの、競争が厳しく市場が小さい」スーパーカーより、「未開拓の分野ではあるが、明確なターゲットが存在し、一定の市場がある」高級オフローダーを目指そうということなのでしょうね(そもそもXMを投入した意図もここにある)。
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BMWはなぜ記念すべきM部門50周年記念として、スーパーカーではなくSUVを発表したのか?M部門CEOが多くの人が感じているであろう疑問に答える
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CS/CSLバッジは「聖域」として守られる
オフロードMの可能性を広げる一方で、ファン・ミール氏は「ブランドの安売り」はしないと断言しており・・・。
- CS(Competition Sport) / CSL(Lightweight): これらのバッジは、軽量化とサーキットの空力に根ざした「車高の低いモデル(クーペ、セダン、ワゴン)」専用であり、SUVに採用されることは今後もないと明言
- オフロード版Mの呼称: もし実現すれば、全く新しいネーミング、あるいは「Dakar Edition」のような特別な呼称になることが示唆されている
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BMWの「CS」「CSL」は何を意味し、それぞれどう違うのか?時代とともに変わりゆくその意味、そのキャラクターを解説
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デザイン:「新世代の顔」
このオフロードモデルは「独立したデザイン言語」ではなく、現在BMWが強く推進する「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」デザイン言語が採用される見込みだといい、巨大なキドニーグリルを維持しつつ、より垂直で力強いフロントマスク、スキッドプレートとの一体感、そして高い最低地上高を強調するタフなスタイリング等により、これまでの「都会的なBMW」とは一線を画す、圧倒的な威圧感を持つ一台になることが推測されています。
ただ、メルセデス・ベンツGクラスが「(ほかラインアップとは異なる)独自の」デザインを持つことで固有の世界観を演出し、それによって成功が担保されているのだとすれば、BMWもまた、この「新しいオフローダー」につき、BMWの従来のイメージに引っ張られない、排他性を持つデザインを導入すべきなのかもしれません。
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結論:BMW Mは「未知の領域」へ
「Mがオフロードカーを作るのは矛盾ではないか?」という問いに対し、ファン・ミール氏は「ダカールのマシンを見れば、それもまた究極のパフォーマンス・ドリブンであることがわかるはずだ」と答えていて、これはポルシェが用いた論法と同様ではあるものの、そもそも(ポルシェはもちろん、アウディとも異なって)オフロードレースでの実績がないBMWにとってはやや飛躍した理論ではあるようにも。
ただ、BMWは「そこまでしてでも」オフローダー、そして中東市場に魅力を感じているのだとも考えられますが、「中東市場への訴求」を行った最近の例としては「ジェネシス」が存在し、とにかく「中東」「砂漠」はいまプレミアムブランドにとって「もっとも熱い」キーワードなのかもしれませんね。
Image:Genesis
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はたしてBMWがサーキットで培った「意のままに操る感覚(駆けぬける歓び)」を砂漠や岩場でも実現できるのか。
2029年に向けたこの壮大な挑戦は、BMW Mの歴史における第2の創業とも言える大きな転換点になるのかもしれません。
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参照:CarExpert
















