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さよならBMW XM。M部門専売モデルとして鳴り物入りでデビューするも2028年に販売終了とのウワサ。デザイン、価格、プロモーションなどボクはその敗因をこう分析する

さよならBMW XM。M部門専売モデルとして鳴り物入りでデビューするも2028年に販売終了とのウワサ。デザイン、価格、プロモーションなどボクはその敗因をこう分析する

| ちなみにボクはXMを「近代BMWの傑作」として高く評価している |

中古相場が落ち着き、価格が下がってきた頃に手を出したいとも考えているが

さて、BMWが「M部門専売モデル」として大々的に売り出した”XM”の生産を2028年に終了するとの報道。

生産終了の理由はズバリ「売れてないから」だと目されており、もともとBMWはXMの販売を軌道に乗せ、2029年以降にこれをフルエレクトリックモデルへとスイッチさせるという生涯設計を持っていたものの、現行XMが売れていないためにその計画がキャンセルされた、とも伝えられています。

なお、米メディアがBMWの広報担当者に連絡を取ったところ、以下のようにコメントがあり、BMWも暗にこのウワサを認めているということにもなりそうですね。

BMWの方針として、将来の製品開発に関する第三者の憶測にはコメントしませんが、最近の報道が注目を集めていることを考えると、自動車メディア界で広く報じられているXMの件につき、明確にする必要があると考えています。現時点では、BMWはXMの後継車の将来について公式声明を出していません。

なぜBMW XMは売れなかったのか

このBMX XMは「M1以来」のM社専売モデルとして登場していますが、モータースポーツと直結するM社が「スーパースポーツではなくSUVを選んだ」のはBMWがメルセデス・ベンツに対抗しうるレベルの超高級SUVを持たなかったからだとされており、実際のところ発売直後はランボルギーニ・ウルスを超えるほどの登録台数を記録しています。

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ただ、その後には販売が急落したとも伝えられ、やむなく値引きをおこなうようになったとも伝えられていて、これは「XMに惹かれた人々が発売直後にこぞって購入したのち、一般の人々がそれに続いて購入しなかったから」なのかもしれません。

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つまりXMはあまりにニッチであって一般受けしなかったのだとも思われますが、「X5 Mコンペティションよりも加速性能が劣る割に高価な」価格設定も影響しているのだとも考えられます。

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もちろん、XMの持つ奇異なデザインもまた多くの購入検討者を遠ざけてしまった一つの理由ではあるものの、これはBMWにとって「覚悟の上」であったのだと思われ、というのもBMWは意図的に論争を呼ぶデザインを採用しているから。

BMWはモデルラインアップが金太郎飴的になることを避けるべく、そしてラインアップ全体でより広い客層を呼び込むことを考慮しているため、「2」「4」シリーズでは挑戦的なデザインを採用してイノベーター/アーリーアダプター層を取り込み、「3」「5」シリーズでは保守的なデザインにてアーリー/レイトマジョリティ層にアピールするなど、デザインをその戦略へと組み込んでいるわけですね。

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BMW XMの魅力はなかなか伝わりにくい

そしてこのXMはもともと「(M社のS68エンジン+PHEVパワートレーンを採用するので)高価になること」が企画段階からはっきりしており、よって(資金的な問題で)購入者自体はさほど多くなく、そして富裕層が求めるものをBMWの考える手法を用いて具現化したということになりますが、BMWの考える客層は「アウディRSやメルセデスAMGの高級SUVを保守的だと考える(それらに満足していない)人々」であったのだと思われ、よって(同じ考え方を持つ7シリーズ同様に)こういったルックスになったのだと捉えています。

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実際のところXMにはこれまでのBMWとも、他社製品とも異なるディティールが非常に多く、ホイールの切削加工は高級機械式腕時計のケースに採用されるブラシ仕上げのよう。

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センターキャップもまた独特ですね。

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ランプ類もほかのBMWとは異なり、フラッシュサーフェスを強く意識していて、クルマのパーツというよりはスマートフォンやスマートウォッチ的な印象を受けます。

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ジャンボキドニーに組み込まれたイルミネーションフレームも「ツライチ」そして(物理的にも、そして素材的デザイン的にも)シームレス。

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テールパイプの仕上げはもはや芸術品レベルで・・・。

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彫刻作品のような面構成に・・・。

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この面構成を再現したアヴァンギャルドなインテリア。

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こういったところを見ると、BMW XMは、BMWのデザイナーが「自動車を越えようとして(ライバルと比較されない新しさを手に入れようとして)」別の次元へとそのデザインを押し上げようとした意欲作ということがわかりますが、惜しむらくは実車を見ないとまったくその意図や素晴らしさが伝わらないことであり、XMの敗因としては、その「デザイン」そのものにあるのではなく、そのデザインの意図や緻密さ、素晴らしさを伝えることができなかったプロモーション手法にもあったんじゃないかと考えています。

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参照:Jalopnik

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