| LEDひとつひとつの直径は髪の毛の太さほどもないらしい |
しかも照射範囲はカーナビゲーションとも連動
さて、ポルシェが2023年モデルのカイエンとカイエン・クーペにオプションで設定される「HDマトリックスLEDヘッドライト」の詳細を公開。
なお、マトリクスLEDヘッドライトはたいへん便利なシロモノで、以前に乗っていたアウディTT(8S)での経験しかないものの、「照らして欲しいところを照らしてくれ」、そして標識や遠方、さらに道路脇が非常に見やすく、夜間のドライブが非常に快適であったことを思い出します。
ポルシェ最新のHDマトリックスLEDヘッドライトはこんな構造を持っている
ポルシェのヘッドライトにおけるデザイン的な特徴は「クワッドLED」ではありますが、このデザインはモデルによって相違があり、しかし718ボクスター/ケイマン、さらにはSUVのマカンやカイエン、ハードコアなサーキット志向モデルである911GT3 RSであってもこれを備えていて、さらにはコンセプトカーであるミッションR、スター・ウォーズとのコラボレーションによって誕生した「トライウイング S-91x ペガサス・スターファイター」もクワッドLEDを保有しており、おそらくは今後長きにわたってこのモチーフが採用されるのは間違いなさそう。
Even in a galaxy far, far away you can still spot the iconic design of Porsche. Catch the Tri-Wing in action for the very first time in the limited series, Obi-Wan Kenobi. All episodes now streaming on Disney+. pic.twitter.com/wYHcaTpY0Q
— Porsche (@Porsche) August 7, 2022
そこで今回、ポルシェのライティングシステムを担当し、複数のLED特許を保有するベンジャミン・フンメル氏が新しいHDマトリックスLEDヘッドライトについて語っており、いかに優れた美観と機能性の両方を備えているかを紹介することに。
大まかな構造としては、4つのLEDクラスターと中央の1つのハイビームライトで構成され、ハイビーム光がヘッドライトの下部にある2つのユニットに分割されていますが、これは次期マカンでもオプションにて採用されることになるようです。
新型HDマトリクスLEDヘッドライトに使用されるLEDの数は片側16,384個
この新しいHDマトリックスLEDヘッドライトにつき、クワッドLEDというデザインはそのままに、発光ダイオード(LED)の数が大幅に増えており、その数はこれまでのマトリクスLEDヘッドライトの109個(ヘッドライト、デイタイムランニングライト、ウインカーを含む)から、この新しいシステムでは1ユニットあたり8,192個のLEDが使用されるようになっており、ヘッドライト1個あたりでは16,384個ものLEDを持っているそうなので、ヘッドライト左右では32,758個ものLEDを有しているということになりますね。
この途方もないLED数を実現できたのは、ポルシェ、ボッシュ、インフィニオン、日亜化学が開発した新しいLED技術によるもので、各LEDは髪の毛の太さとほぼ同じくらいの直径を持つといい、これによってポルシェは「数百個」から「数千個」までをまとめることができるようになったと紹介されています。
その結果として、より高度かつ精密なな調整が可能になり、さらには照度も向上していて、その明るさは最大300ルクス(倉庫3棟を照らすのに十分な明るさ)に達した、とも。
ポルシェによれば「300ルクスの明るさで、ハイビームを600mまで照射することができます。しかも、ある一定の範囲だけではありません。フィールド全体への配光も必要であり、これを4つの光源で実現しました。中央部とサイド部の明るさを連続的に調整することで、路側帯の照度をアップさせることができます。照度が高ければ高いほど、照明の性能は向上します」。
日本だとけっこう明るく照らされた道路が多かったり、野生動物が頻繁に飛び出してくることは稀だと思いますが、欧州や米国では暗い道路、野生動物との遭遇も珍しくはない地域が多いとされ、そのため各社とも「レーザー」を取り入れたり、現在でもナイトビジョンをオプション装備できるクルマが数多く存在していて、ここは日本とちょっと様相が異なるところ(しかも直線が多く走行する速度も高いので、速度に見合った距離を照らせるライトが必要だとされる)。
新型マトリクスシステムは、同じく新型ECUにて制御され、16ミリ秒のリフレッシュレートに対応しているそうですが、このECUはさらに正確な制御を行うため、カーナビゲーションシステム、カメラシステム、赤外線センサー、ステアリングポジションと連携しながら照射範囲を変化させることになるといい、カイエンやマカンだけではなく、718ボクスター/ケイマンや、911などスポーツカーレンジにも拡大してほしいものだと思います。
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参照:CARBUZZ