
| ここまで来るともう「両社のプライドを賭けた戦い」である |
ただし日産は注文をつけることができる立場ではないだろう
さて、約2ヶ月にわたる交渉の末、日産とホンダは「合併(経営統合)にかかわる話はなかったことに」という声明を出し”白紙撤回”を公式に発表していますが、この交渉が決裂した理由は「日産がホンダの支配下に入ることを嫌ったため」だと伝えられています。
もともと両者の経営統合については、新しく持株会社を設立し、その下に日産とホンダとが「同列に」ぶら下がるというもので、しかしホンダは様々な事情を考慮したうえで日産を「支配下に置く」ことを望んだとされ、これに日産が反発をしめして”破談”に至ったと言われているわけですね。
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実際の「破談」に至る理由はもっと奥深かった
そして今回、いくつかのメディアが報じているのが「破談となった真の理由」。
ホンダそして日産が発行した共同のプレスリリースではあいまいに示されていたものの、The Japan Newsによると、ホンダは日産に自社のハイブリッドシステム(e-Power)を廃止し、代わりにホンダのハイブリッドシステムを採用するよう提案したとのこと。
この提案は、今後のいくつかの車両、特に人気車種のローグ(エクストレイル)を根本的に変更せねばならない可能性を示唆しており、これが日産のプライドを傷つけたとされています。
日産は2016年からe-Powerを市場導入していたものの、その一方で「完全電動化車両」の導入を急いでいて、つまりこのe-Powerを過渡的技術だと位置づけていた可能性が高く、実際のところ主力のアメリカ市場では「ここ最近になって導入されようという段階」。
事実として、日産のCEOである内田誠氏は「言い訳かもしれませんが、昨年の今頃まで、ハイブリッド車の需要の急増を予見することができませんでした」とつい最近メディアに語っており、しかし今ではこのe-Powerを活用すべく様々な対策を講じている最中だとされ、しかしホンダの提案(というか要求)だと、日産にこのe-Powerを「捨てろ」というわけですね(このe-Powerは日産ノートの販売を大きく伸ばし、悲願の「日本市場での販売ランキング1位」をしばらくぶりに日産にもたらした技術でもある)。
そしてホンダ側では「すでに信頼できるEVシステムを(ホンダが)持っており、このシステムを日産にも使用させ、生産規模を拡大すれば両ブランドにとって製造コストの削減が期待できる」と考えたのだと報じられていますが、ホンダは「自社のハイブリッドが日産の技術よりも優れる」と主張し、一方の日産は先週に次世代ハイブリッドシステムのロードマップを発表したばかりで、この新システムは以前のものよりも20%進化したとアピールしたところ。
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ホンダは日産の内田誠CEOの退任を希望
こういったゆきさつがあって「日産はホンダの提案を受け入れることができず」破談になったのだとされていて、さらにこの話には続きがあるとフィナンシャル・タイムズ(欧州)が報じており、それは「ホンダが、内田氏がCEOを辞任すれば交渉を再開する意向を示している」ということ。
この意向が事実かどうかはわからず、そこでロイターは両社に問い合わせたものの、ホンダは「その報道は我々が発表したものではない」と回答し、日産はコメントを控えというのが現在の状況だそうですが、これが本当だとすると、まだ「ホンダと日産との合併話」は完全に消えてなくなったわけではなさそうです。
なお、内田誠氏は2019年12月に日産のCEOに就任して以来、日産の低迷の立て直しに尽力し、2026年までCEOを続ける意向を示していますが、昨今の状況を鑑みて社内外から辞任を求める声が高まっているという話も聞かれます。
というのも、そもそも日産がホンダとの合併を考えなければならなくなった状況は、明らかに同社の経営危機が影響しており、その危機は内田誠CEOが招いたのだとも考えられ、となると内田氏の時代が終わる可能性も低くはなく、最終的にこのドラマがどう決着するかはまだ分からない、といったところですね。
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