Image:TOYOTA
| 世界最大の自動車市場、中国では「自動運転」に対する関心が非常に高い |
そして今後、自動運転技術の優劣が販売を左右する時代が来るであろう
さて、現在ラスベガスにて開催中のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では様々な自動車関連テクノロジーが公開されており、BMWが「最新iDrive」をリリースしたことで話題をさらっています。
そしてトヨタも(負けじと)次世代車両にNvidiaの最先端技術を統合する計画を発表し、これによって自動運転技術の能力が新たな高みに達することが期待されていますが、この技術の中心にあるのはエヌビディア製のDrive AGX Orinスーパーコンピュータ。
さらにこれはエヌビディアのDriveOSオペレーティングシステムによってサポートされていて、「Drive AGX Orinは、Nvidiaの次世代の非常に強力な小型コンピュータで、生成AI、コンピュータービジョン、そして高度なロボティクスアプリケーション向けに設計されている」と説明されています。
エヌビディア「Drive AGX Orin」では何ができるのか
Drive AGX Orinは車両専用に設計されており、1秒間に275兆回の計算処理(275TOPS)を実行できるそうですが、これに対して、テスラの最新のハードウェア4システムは、それぞれの神経ネットワークで50TOPS(合計150TOPS)にとどまるもよう。
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実際にこのDrive AGX Orinがトヨタのクルマに搭載されるのはもう少し先のこととなりそうですが、しかし2024年にトヨタが中国向けとして発表したbZ3Xには、「テスラの完全自動運転(FSD)に匹敵する能力を持ち、NvidiaのDrive AGX Orin Xシステム・オン・チップ(254TOPS)と、11台の高精細カメラ、12台の超音波レーダー、3台のミリ波レーダー、そしてLiDAR(ライダー)などのセンサーを組み合わせた」先進的なシステムが先行して搭載されることについても言及され、このシステムは”テスラが主張するのと同レベルの”自動運転を実現することができる可能性があると見られています。※ただし自動運転の実現に際してはハードに加えソフトも重要であり、これらを統合して開発するテスラには優位性がある
そしてこういった自動運転(自律運転)は中国市場にて非常に重要視される機能だと言われているため、今回トヨタが発表したシステムはトヨタが中国にて生き延びるための武器となりうるのかもしれませんね。
トヨタ以外の競合他社もエヌビディアの技術採用に踏み切る
なお、今回のトヨタ以外にもエヌビディアの技術を採用する例が少なくはなく、今回エヌビディアは「NVIDIA DRIVE AGX Hyperion」と呼ばれる、システムチップを組み込んだエンドツーエンドの自動運転車両プラットフォームを発表していますが、このプラットフォームは、メルセデス・ベンツ、JLR(ジャガー・ランドローバー)、ボルボ・カーズなどによって採用される予定であることも公表されています。
Nvidiaの創業者でCEOのジェンセン・ファンは「次世代の自動運転マシンは、現実世界と相互作用し理解するために物理的なAI基盤モデルに依存することになる。Nvidia Driveはこの新しい時代に特化しており、比類のない機能安全性とAIを提供する」と述べており、今後自動車メーカーは「どのチップメーカーと組むか」によってその将来が左右され、よって慎重な対応を求められるのかもしれません。
参考までに、エヌビディアはNvidiaは1993年に設立され、当初はPCゲームが文化現象となる中、グラフィックスベースの処理を加速するために活動を始めていますが、最初は新しいコンピュータに貼られるステッカーに過ぎなかったNvidiaのロゴも、PCゲーマーにとっては必須のアイコンとなり、画期的なグラフィックス処理ユニット(GPU)で名を馳せることに。
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その後、機械学習、いわゆるAIの発展とともに、Nvidiaは再び加速した計算技術を活用し、AIの計算に必要なパワーを提供することができるGPUを提供していますが、この技術は急速に進化し、2024年6月、エヌビディアはついにアップルを抜いて(一時的にせよ)世界で最も価値のある企業となったのも記憶に新しいところ。
現在、テスラは車両にNvidiaのチップを使用していないものの、テスラの自動運転技術のバックエンドは数万個のNvidia H100 AIチップによって駆動されており、これらは1個あたり約30,000ドルの価値がある、と言われています。
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