| ポルシェは「最小限のラインアップで、最大限の顧客を取り込み、かつ利益を最大化する」ことを考えている |
さらに「最初は似たようなモデルであっても、その性格がモデルチェンジごとに独自のものへと発展する」のもポルシェ同様である
さて、ポルシェはタイカンをリフレッシュし、新バリエーションとして「タイカン・ターボGT」を発表しようというところですが、そのちょっと前にはパナメーラをフルモデルチェンジしたばかり。
そしてタイカン登場以降ずっと問われているのが「タイカンとパナメーラは共存できるのか」という疑問です。
-
ポルシェが新型タイカンを3月11日に発表すると予告。リアウイングが装着されているところを見るに「(EVでの)ニュル歴代2位」を記録したタイカン・ターボGT(仮)か
Porsche | ちなみに新型ポルシェ・タイカンのコクピットに座るドライバーは「ヘルメットオン」 | 現時点では「EVとハイパフォーマンスカー」との相性はあまり良くないと言われ、ここはポルシェに取っ ...
続きを見る
今はまだ「棲み分け」が可能だが
現在のところ、タイカンはピュアエレクトリック、パナメーラは「ガソリン、もしくはハイブリッド」というパワートレーンの相違があり、よって現時点では棲み分けが可能な両者ではありますが、いずれパナメーラがエレクトリック化された際、これらの関係性は極めて近いものとなり、お互いがその領域に足を踏み入れることになるものと考えられます。
よって、これまでにも多くのメディアがポルシェに対し「電動化時代になれば両者が共に生き残ることはできないのでは」という疑問を投げかけており、その都度ポルシェが応えてきたのが「それはない」という回答。
そして今回もまた、タイカンのモデルライン責任者のケビン・ギーク氏が両者の食い合いについて否定したとの報道がなされているわけですね。
ポルシェはニューモデルを発売する際には常に長期的な視野を持っています。当社のすべての自動車ラインと同様に、そしてとくに911のような長寿命の自動車ラインとして維持することに高い関心を持っています。新しいモデルラインを持つことを決定するとき、それを3年か4年という短期間だけ持つことについては考えていません。私たちはタイカンをイノベーターとして維持し、何が可能なのか、そして私たちのBEVスポーツカーの定義は何なのかを示したいと考えています。私たちは常にクルマを改良し続けます。 したがって、タイカンとパナメーラの寸法は非常に似ていますが(後者の方がわずかに大きい)、それぞれ異なる目的を持っています。
-
新型ポルシェ・タイカン発表、「ターボS」はポルシェの市販車史上最強952馬力、0-100km/h加速は最速の2.4秒。全方位においてアップデートがなされ驚異の進化を遂げる
Porsche | ポルシェは新型タイカンにおいて911を超えるパフォーマンスを与えてきた | ここまで性能や機能が引き上げられると前期モデルの中古相場が大きく崩れそう さて、ポルシェがフェイスリフト ...
続きを見る
さらに同氏は「パナメーラのセグメントは、顧客にとってより広々としており、より贅沢なものだと考えています。それは、スポーティさ、つまり実際のスポーツカーの挙動に重点を置いたタイカンで見られるものとはまったく異なります。どちらも理にかなっていて、私たちはそれぞれ別の顧客を獲得していると確信しています」とも。
つまりポルシェはタイカン=スポーティ、パナメーラ=ラグジュアリーという方向性をもって、それぞれ異なる顧客を獲得しようと考えているということになりますが、たしかにこれは理にかなった戦略かもしれません。
登場当初こそは両者の区別が曖昧であり(実際にタイカンがパナメーラの販売をかなり侵食したということが数値によって明らかになっている)、しかし現在パナメーラはワゴンボディをドロップさせて「サルーン」のみの展開とし、一方のタイカンでは「ターボGT」にてスポーツ性能をアピールしつつ、スポーツツーリスモやクロスツーリスモによってアクティブなイメージを強調する方向性を採用していて、今後両者の領域は徐々にそれぞれの方向へと拡大するのかもしれません(水冷世代の911とボクスターがそうであったように)。
-
ポルシェが新型パナメーラを発表。トップレンジのターボ E ハイブリッドは680馬力、ポルシェ初の「ターボナイト」カラーが内外装に採用される
| 新型ポルシェ・パナメーラのルックスはよりダイナミックに、そして高級に | さらに新型パナメーラはその走行性能や快適性にも大きく磨きをかけてきた さて、ポルシェがフルモデルチェンジ版となる新型パナメ ...
続きを見る
なお、(変更がなければ)ポルシェは2030年までに全車両の80%を電動化するという目標に向かって進むことになり、そしてこれは既存車種を電動化するということにとどまらず、「新しい電動化専用モデルが登場する」という計画も含まれます。
もちろんこの中には「ミニバンのようなSUVのような」7-8人乗りのライフスタイル系フラッグシップモデルが追加されることが決まっていて、ポルシェはそれぞれのラインアップにそれぞれのキャラクターを与え、獲得できる顧客の領域を最大化することになりそうですね。
-
ポルシェが開発中のミニバン(もしくは大型SUV)は安くない!オプション抜きでもカイエンのベースモデル比で3倍の価格となるもよう
| ポルシェの新型EVは920Vエレクトリックシステムを採用し、充電当たり航続距離は700kmを超えるようだ | それにしてもどんなスタイルになるのか気になるのはボクだけではないだろう さて、昨年半ば ...
続きを見る
合わせて読みたい、ポルシェ関連投稿
-
ポルシェがアルファードを意識?同社デザイナーが「アルファードのようなクルマは興味深い選択肢です」と語り、ミニバン発売について熱い想いを語る
Porsche | 今後の自動車の使われ方、電動化による設計自由度の向上を考慮すると、ポルシェがミニバンへと食指を伸ばすことは不自然ではない | ポルシェは常に新しい可能性を追求し、その道を切り開いて ...
続きを見る
-
ポルシェがさらなる値上げを実施との報道!グループあわせて20%の利益率を確保するために「フェラーリを目指す」
| VWグループは「Road to 2o」なる利益率20%を目指す計画を進行させており、重要な役割を担うのはポルシェである | そしてポルシェ、VWグループは将来的に販売台数が減少することを考慮に入れ ...
続きを見る
-
ポルシェが年次総会を開催、「2030年までに80%をEVに」する計画を強調。フラッグシップSUVについて語られるも911の電動化については「一言も」語らなかったもよう
| もしかするとポルシェは911をピュアエレクトリック化しないかもしれない | ただし(プロトタイプが目撃されている以上)、ハイブリッド化はありそうだ さて、ポルシェが2023年の年次総会を開催し、そ ...
続きを見る
参照:CARBUZZ