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| ただしインテリアでは実用的な改良を盛り込み、全体での商品力を大きく向上させている |
これによって「BYDに奪われた」首位の奪還なるか
さて、テスラがついに「モデルY ジュニパー(サイバートラック風のフロントを搭載したフェイスリフトモデル)」を発表。
現在のところ、この新型モデルYが販売されるのは中国のみで(まだ上海ギガファクトリーしか生産に対応していない)、3月から生産が開始され、価格は263,500元(現在の為替レートにて約550万円)から。
なお、モデルYはテスラの中国での販売の70%を占めたうえ、世界において「もっとも売れたクルマ」となっており(中国ではBYDの”秦”に首位を奪われた)、今回のフェイスリフトによる販売伸長に期待がかかります。
ちなみに「グリルレス」「フラッシュドアハンドル」「インテリアでは巨大スクリーンに最小限の物理スイッチ」というスタイルはテスラが確立したもので、その後これらは中国車の「標準」となっていますが、そこから中国車が独自の発展を遂げ「細長いLEDライトバー」を採用するにいたり、そしてテスラがこれを今回採用したという”逆の流れ”が発生しているのは非常に興味深いところ。
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なお、新しいモデルYの概要は以下の通り。
- 新しい後輪駆動:(RWD)バージョンは、前のモデルYよりも39km長い航続距離(CLTC条件下で554kmから593km)を獲得
- 新しいRWDモデルの価格は前のモデルYよりも13,600元高く、249,900元から263,500元へ
- 新しいRWDモデルは前のバージョンよりも10kg重い(1911kgから1921kg)
- 噂されていた800Vアーキテクチャは採用されていない
- ターンシグナルスティック(ウインカーレバー)が復活
- 充電最大出力は250kW
- サイバートラックを彷彿とさせるLEDランニングライトユニットを搭載した最新のフロントデザインを採用
- Cd値が0.22に向上(以前は0.23)
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新しいテスラ・モデルYはこんなクルマ
そこでさらにこの新型モデルYを見てみると、フロントには新しいLEDライトバー(ヘッドライトはフロントバンパーに移動)、リアにはシングルテールライトユニットとダックテール・スポイラーを採用し、よりスポーティなリアバンパーも追加されています。
その他の外装の特徴としては、新しいホイールデザイン(19インチおよび20インチ)、新しいブルーの塗装といったところで、ボディサイズは全長4,797ミリ、全幅1,920ミリ、全高1,624ミリ、ホイールベースは2,890ミリ。※47ミリ長く、1ミリ広くなっている
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テスラ・モデルY ジュニパーには「RWDとAWD」の2つのバリエーション用意され、どちらも400Vアーキテクチャを採用していますが、エントリーモデルは、リアアクスルに220kW(295馬力)を発生するシングルモーターを搭載し、0-100km/h加速時間は5.9秒。
このモーターには、CATL製の62.5kWhのLFPバッテリーパックが組み合わせられ、これにより、新しい車はCLTC条件下で最大593kmの航続距離を実現することに。※航続距離が39km延長
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AWDバージョン(303,500元)ではリアアクスルに194kW(260馬力)のモーター、フロントに137kW(184馬力)のモーターを搭載し、その総出力は331kW(444馬力)。
このパワートレインに電源を供給するのはLG製の78.4kWhの三元NMCバッテリーで、0-100km/h加速を4.3秒で達成し、CLTC条件下で最大719kmの航続距離を実現しています(旧モデルYより31km増加)。
新型テスラ・モデルYのインテリアはこうなっている
そして新型テスラ・モデルYのインテリアを見てみると、モデル3と同様のスタイルを採用しており、15インチの大画面タッチスクリーン(AMD Ryzen搭載)によるミニマルデザインが特徴的。
新しいSUVはインストゥルメントクラスターを廃止し、代わりにセンタースクリーンに車速、ADASなどの情報が統合され、センターコンソールにはボタンはなく、ワイヤレス充電パッドと”ヒドゥン”コンパートメントが設置されています。
さらに新型モデルYではシートが強化され、後部座席は15mm長く、ヘッドレストは17mm広くなっていて、セカンドシートはワンタッチで電動による調整が可能に。
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加えてシルバープレートコーティングを施したサンルーフと16個のスピーカーが搭載され、特筆すべき点は、ステアリングコラムに取り付けられたターンシグナルのスティックが復活したこと(以前のモデルYにはウインカーレバーがなかった)。
そしてもう一つの大きなメリットはトランク容量の増加で、後部座席を倒すと容量は2,130リットルに達し、これは旧モデルYのトランク容量よりも約100リットル多く、テスラが外観だけではなく「実用面」における細やかな改良を施してきたことがわかります。
なお、新型モデルYでは最新AI4支援運転ハードウェアを採用しており、今年中に中国で導入される予定のFSD(完全自動運転)に対応しており、こちらのアナウンスも待たれます。
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