| EVはバッテリーに問題があると「修理」が非常に困難なことが懸念である |
ただしそれもやがて解決されるものと思われる
さて、ポルシェがピュアエレクトリックカー、タイカンに関するリコールを国土交通省へと届け出。
内容としてはバッテリーのシール(密閉)に問題があるというもので、最悪の場合は熱暴走による発火の可能性があり、よって対象となるタイカンのバッテリーをチェックし、必要に応じてバッテリーの交換を行う、としています。
なお、リコールを届け出た直接の原因は「本国からの情報」によるもので、日本国内だと不具合の報告例、そしてこれに関する火災などの事故は確認されてない、とのこと。
ポルシェ・タイカンのリコールは珍しい
ちなみにポルシェの場合、「911や718ボクスター・ケイマンといったスポーツカーのリコールは少なく、パナメーラ、マカン、カイエンといった4ドア系にはリコールが多い」といった傾向がありますが、タイカンは4ドアでありながらも比較的リコールが少ない部類。
それはおそらく、EVという性質に起因してガソリンエンジンやそれに関わる補機類を持たず、構造がシンプルなためだと思われますが(一般にEVは燃焼式エンジン搭載車に比較して構成パーツ点数が40%ほど少ないと言われる)、今回のリコールは逆に「EV特有」の部分です。
内容としては以下の通り、そして対策は上述の通り「確認し、不具合があればバッテリー交換」というものですが、EVのバッテリーは「部分的に補修を行う」ことが容易ではなく、よって問題が発見された場合には「全交換」となるケースも珍しくないようで、これは自動車メーカーやディーラーに「大きな負担」としてのしかかるものだと思われます。
なお、対象となるのは令和3年9月14日~令和5年10月18日の間に輸入された353台(タイカンS、タイカンGTS、タイカン・ターボ、タイカン・ターボS、タイカン4にまたがる)。
高電圧バッテリーにおいて、製造工程におけるシーラント塗布量が不十分なため、バッテリーの密閉性が不完全なものがある。そのため、バッテリーに水分が浸入すると、バッテリーの絶縁抵抗が低下することでアーク放電が発生し、最悪の場合、熱によるバッテリー異常が発生し、火災に至るおそれがある。
国土交通省
ポルシェ・タイカンと多くを共有するアウディ e-tron GTにもリコール届け出
今回のポルシェ・タイカンのリコール届け出にあわせ、その兄弟車と言えるアウディ e-tron GTにも同様の内容でリコールの届け出がなされていますが、こちらはちょっと対象の輸入期間が短く、令和4年11月22日~令和5年6月20日の間に輸入された245台がリコールに該当します(e-tron GTはぼくが想像するよりも売れていたようだ)。
なお、同じフォルクスワーゲングループであっても、アウディのほうがしっかりした図解を行っており、そしてこれを見るに、修復(というか不具合が想定される部分へのアクセス)は困難を極めると捉えていいのかも。
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参照:国土交通省