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BMW M開発トップに「Xモデル」「XM」担当者が就任。これからの「M」はSUVそして電動化へと向かうのか

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| BMW Mの未来を担う新しい開発責任者が就任。「XM」担当者が次期”エレクトリック”Mカー開発を指揮 |

BMW M、電動化時代へ向かう「変革の時」

自動車業界で最も崇拝されるパフォーマンスブランドの一つであるBMW M。

その「M」バッジは究極のドライビングプレジャーの代名詞として君臨しており、しかし自動車産業が電気自動車(EV)への大転換期を迎える中、M部門もまた「未来の形」を模索しているというのが現在の状況。

そしてこの重要な局面において、BMW M部門の開発責任者にも大きな交代劇が生じたということが報じられています。

さよならBMW XM。M部門専売モデルとして鳴り物入りでデビューするも2028年に販売終了とのウワサ。デザイン、価格、プロモーションなどボクはその敗因をこう分析する
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新開発トップが背負う期待と重圧

長年にわたりM部門を支えてきたベテランの退任に伴い、新しく開発のトップに就任するのは「M史上最も賛否両論を呼んだ」XMの開発を主導した人物。

ここでは、この人事の背景、そして彼が指揮を執る次世代Mモデル、特に700馬力超えが期待されるEV版M3の全貌に迫ります。

  • 新トップ就任: XMプロジェクトを統括したアレクサンダー・カラジロヴィッチ氏が新開発責任者へ
  • Mの電動化シフト: 彼の指揮の下、M部門はEVシフトを本格化させる
  • 次期M3の衝撃: 次期型M3はガソリンとEVの両方を設定、EVは4モーターで700馬力以上のモンスターマシンに
  • 賛否両論の継承: XMという挑戦的なプロジェクトの経験がEV時代のMカー開発にどう活かされるのか
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XM開発を率いた男:アレクサンダー・カラジロヴィッチ氏の異色の経歴

BMW Mの新たな開発責任者として就任したのは上述の通りアレクサンダー・カラジロヴィッチ氏。

彼はBMWグループ内で「パフォーマンス分野とSUV分野」という、Mにとって極めて重要な領域で経験を積んできた人物として知られます。

  • プロジェクトマネージャーとしての功績: 2017年から2020年にかけ、彼はBMW”Xシリーズ”派生モデルの開発を主導。特にM部門にとって1978年のM1以来となる初の単独モデル「BMW XM」のプロジェクトマネージャーを務める
  • Mの製品戦略に深く関与: その後、彼はBMW M製品ラインの副社長を2年間務め、Mの製品戦略を深く理解している
  • 広範な経験: M部門だけでなく、BMWグループ全体の「要件、コンセプト、ドライビングエクスペリエンスの統合」といった重要分野でも活躍していた

XMは「M史上最も大型」で、かつハイブリッドV8を搭載した極めて議論を呼ぶ一台。

「M」専売モデルであるにもかかわらず「重く」「大きく」「電動化がなされ」しかもSUVといったことから多くの批判がなされたわけですが、そのパフォーマンスにおいては疑う余地はなく、この挑戦的なプロジェクト率いた彼の手腕が次世代のMモデル、特に電動化モデルに求められることになるわけですね。

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退任するベテラン:ディルク・ハッカー氏の偉大な功績

新体制移行の背景には、37年間BMWグループに尽力し、直近11年間をBMW Mで過ごした大ベテラン、ディルク・ハッカー氏の引退があり、ハッカー氏は2015年から開発を率い、彼の在任期間はM部門にとっての「まさに黄金期」。

  • 開発を主導した期間: 彼の開発責任者としての在任期間には、前例のない製品攻勢が行われ、最高品質の製品と記録的な販売台数を達成
  • 最後のモデル: 彼の指揮下で最後に発表されたモデルはファン待望の新型M5ツーリング

BMW MのCEO、フランシスカス・ファン・ミール氏はハッカー氏の功績を称賛し、「彼の名は、前例のない製品攻勢、卓越した製品品質、そしてMの年間販売記録と切っても切り離せない」と述べており、アレクサンダー・カラジロヴィッチ氏はこの偉大なる功績を越えるという使命が課されているわけですね。

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Mブランドの未来:EVシフト700馬力超えM3

カラジロヴィッチ氏が開発トップを引き継ぐのはMブランドが次世代ラインナップの基盤を築き始める変革の真っただ中。

そして最も注目されるプロジェクトはなんといっても「次期型M3」であることは間違いないかと思われます。

モデルパワートレイン特徴関連する新しい知識
次期型M3ツインターボ6気筒ガソリン車として設定を継続。Mの伝統を維持。ハイブリッドの可能性: M3にも何らかの電動化(マイルドハイブリッド等)が導入される可能性は高い
EV版M3フルEV(4つの電気モーター)最高出力700馬力以上が期待される。クワッドモーター: 4輪それぞれを独立したモーターで制御することで、これまでにないトルクベクタリング究極のトラクションを実現する
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EV版M3はMの歴史における重大な技術的転換となり、700馬力を超える4モーター構成は現行のM3を大幅に凌駕するパフォーマンスをもたらしますが、伝統的なMファンと電動化に懐疑的な層の間で、大きな議論を巻き起こすことは避けられず、いかにしてM部門がこれを乗り越えるかに注目が集まるところ。

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BMW、電動スーパーカーの可能性を否定せず。ただし正式な計画は未定、「過去の失敗」がトラウマか

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結論:XM担当者はMの「挑戦」をEV時代へ引き継ぐ

XMというM部門の「異端児」を世に送り出したカラジロヴィッチ氏が、電動化の波に直面するMの未来を担うことになったという事実は「BMW Mが単なる高性能車という枠を超え、議論を巻き起こすような革新的な技術にも積極的に挑戦していく」という明確なメッセージ。

【次期BMW M3】「全く新しい」新型ガソリンエンジンを搭載し登場予定。電動モデルと並行して開発中であるとBMWが公式に語る
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彼のXMでの経験、つまりMの伝統と新しいコンセプトを融合させる難しさを知っていることがEV時代におけるM3やM5の開発で活かされることとなり、700馬力超えのEV M3は、単なる速さだけでなく「Mらしい感動的なドライビング・エクスペリエンス」を電動パワートレインでどう実現するかが新しい開発トップに課せられた最大のミッションというわけですね。

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自動車業界のアイコンであるBMW Mが、この大胆な人事とEVシフトを通じ、いかにして究極のドライビングプレジャーを守り抜くのか、その動向から目が離せないといったところです。

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