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なんとV12エンジンを搭載したフェラーリF40が存在した。当時クラッシュテストに使用した車体を引き取ることに成功したファクトリーが550マラネロのV12を搭載

なんとV12エンジンを搭載したフェラーリF40が存在した。当時クラッシュテストに使用した車体を引き取ることに成功したファクトリーが550マラネロのV12を搭載

| 見た目は「まんまレーシングカー」ではあるが、驚くべきことに公道走行が可能である |

予想落札価格は平均的なF40の半分にとどまるものの、実際にオークションが終わるまで落札価格はわからない

さて、F40はフェラーリのみならず自動車の歴史におけるアイコンのひとつですが、(288GTOを除くと)ほかの多くのコレクティブルなフェラーリとは異なって「V12エンジンを積んでいない」という特異点があります。

しかしながら今回アイコニック・オークショニアーズが競売に供するF40は他の個体とは一味違い、なんと「V12」を搭載しているのだそう。

この「V12エンジン搭載」F40はこんな経歴を持っている

そこで「なぜV12エンジンを積む」フェラーリF40が誕生したのかを見てみると、まずこのF40は英国を拠点とするレーシングファクトリー、シンプソンモータースポーツによって制作されたもの。

シンプソンモータースポーツは1990年代半ば、ステファノ・セバスチャーニのために348LMを準備しレースへと出場させており、このときにフェラーリと築いた関係のおかげで「クラッシュテストに使用されたF40の車体」を入手することに成功したと説明されています。※つまりこのフェラーリF40は総生産台数に含まれない「幻の一台」ということになる

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しかしながら、シンプソンモータースポーツとステファノ・セバスティアーニは、このF40を標準仕様に戻すのではなく”ユニークなもの”を作成する計画を立て、よって(入手した時点では搭載されていなかった、しかし本来搭載されているべき)ツインターボ2.9リッターV8エンジンではなく、当時の最新モデルであったフェラーリ550マラネロに積まれていた自然吸気5.5リッターV12エンジンを採用することに。

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これら2つのエンジンのサウンドや出力特性はまったく異なり、しかしV12のほうは485馬力、V8ツインターボだと478馬力という「似たような数字」となっているのは特筆すべきところ。

そしてもちろん自然吸気V12エンジンはV8ツインターボのドッカンターボとは異なるキャラクターを持つため、もしかするとこのシンプソンモータースポーツ製「V12」F40は多少(V8ツインターボに比較して)乗りやすいのかもしれません。

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なお、シンプソンモータースポーツはこのフェラーリF40を再構築するに際してヒューランド製のトランスミッションを(V12エンジンと)組み合わせ、FIA規定に準拠するフルロールケージを装着し、さらにはF40 GTEスタイルの外観へ。

しかしながら驚くべきは「ほぼレーシングカー」な内外装を持ちながらも(ナンバープレートが装着されていることからもわかるとおり)このフェラーリF40は公道走行が可能な基準を満たしており(英国では”シンプソン フェラーリ GTR”として登録されている)、「そのままレースに出ることができるロードカー」というフェラーリF40が企画された当時の要件をドンピシャで再現していること。

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このフェラーリ「V12」F40は2000年代初頭に完成したとされ、その後は英国とヨーロッパのいくつかのイベントに参加し、最高の成績は2006年のオールトンパークでのブリットカーレースでの2位、スネッタートンとブランズハッチでの6位入賞。

しかしながらそういった活動の後、シンプソンモータースポーツはこのF40をずっと保管することになり、しかし今回何らかの理由にて車両の売却を決め、徹底的にテストを行った後に競売にかけられることとなったわけですね。

なお、予想落札価格は50万ポンド(現在の為替レートにて9900万円くらい)から60万ポンド(1億1900万円くらい)というエスティメイトが出されており、これは「通常の」F40よりもずいぶん低い価格ではありますが、最近はいかに改造車であっても「ちゃんとしたバックボーンを持っていれば」信じられないような高価格で落札されることもあり、よってこのオークションの行方には大きな期待がかかります。

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参照:Iconic Auctioneers

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