| もしも人間によるドライブであれば、陥没や突起を発見してからの操作では回避できないだろう |
これからの自動車は完全に「考え方をリセットして」設計すべきなのかもしれない
さて、先日ニュルブルクリンクへとチャレンジし、その際に「もっとも速い速度で走る中国車」であることが立証されたヤンワン U9。※残念ながら中国車最速の座はシャオミSU7 ウルトラに持ってゆかれた
この「ヤンワン(仰望 / Yangwang)」はBYDの展開する プレミアム電気自動車ブランドで、U9はその2番目の車となりますが、「第一弾」はオフローダーである「U8」。
U8では水上を浮かんで走行できる能力が注目されましたが、続くU9ではDisus Xと命名されたサスペンションと油圧システムを搭載しており、これによりクルマがジャンプしたり、踊ったりすることが可能です。
一見すると「水上航行可能」「ジャンプやダンスができる」というのは自動車としてはまったく意味をなさない機能のように思えますが、現在の中国の自動車業界では「非常に競争が厳しい」とされるので、なんらかの話題性を呼べる機能、そしてライバルがもたない機能を備える必要があるのかもしれません。
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BYDはU9の「Dsus X」に自律運転機能をプラス
このU9に装備されるサスペンション「Dsus X」は、”ジャンプしたり踊ったり”という点では新型ポルシェ・パナメーラと同様の機能を持つということになり、しかしU9がこれと異なるのは「自律運転機能と組み合わせたこと」。
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今回公開された動画では、U9が無人で自動走行するさなか、さまざまな障害物(例えば水で満たされた穴や道路上の突起物)をジャンプして越えるという機能を確認できますが、これを120㎞/hという比較的高い速度域で行っていることに驚かされます。
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最初の障害物は「長さ2.5メートルの広い水たまり(その下に穴がある)」で、U9はDisus Xサスペンションによって車両をジャンプさせ、穴を飛び越えており、BYDによればこのジャンプは6メートルの距離を超えるのだそう。
その次には3.5センチの高さを持つ道路上の突起(スパイク)が登場し、やはりDisus Xサスペンションの働きによってU9がスパイクを飛び越えます。
BYDはこのテストに関するその他の詳細(例えば使用されたADAS(先進運転支援システム))については触れていませんが、BYDは過去にDJIやホライゾン・ロボティクスとADASの協力を発表しているので、これらの技術を採用しているのかもしれません。
ヤンワン U9はこんなクルマ
ここでヤンワン U9を振り返っておくと、2024年2月に中国にて168万元(現在の為替レートだと約3500万円くらい)で発売され、2024年8月に量産と納車が始まっています(計画倒れがほとんどである中国製スーパーカーとしては、かなり珍しく”実際に納車された”部類である)。
BYDの持つe4プラットフォームをベースとし、4つの電動モーターを搭載することで合計で960 kW(1,287馬力)の出力と1,680Nmのピークトルクを発生し、0-100km/h加速は2.36秒、400メートルのドラッグレースを9.78秒で駆け抜けるという俊足を持つうえ、2024年11月にはニュルブルクリンクへと挑戦し7分17.9秒というラップタイムを記録しています。
Image:BYD
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バッテリーにはリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)ではなくリチウム鉄リン酸(LFP)バッテリーを採用しているとアナウンスされており、その容量は80kWhで、CLTCサイクルで465kmの航続距離を提供するとされていますが、800Vアーキテクチャを採用することで30%から80%の充電を10分で行うことが可能です。
さらには二重充電システムをサポートしており、2つの充電ソケットから同時に接続することができるといい、この技術はBYDが得意とするものでもありますね。
そしてパフォーマンス面における目玉は今回紹介した「Dsus X」サスペンションシステムであることは間違いなく、このシステムは、車両が三輪で走行したり、ダンスやジャンプを行ったりできることを可能にしますが、本来の目的はこういった「トリック」ではなく、車両を安定させ、かつ4輪に必要な荷重をかけて(特定の車輪を地面に押し付けることができる)グリップを最大化することにあり、そのためにこれだけの「必要十分なパワー」を備えているということに。
Image:BYD
ヤンワンU9のボディサイズは全長4,966ミリ、全幅2,029ミリ、全高1,295ミリなので、スーパーカーとしては「かなり大きな」部類ではありますが、それはおそらくバッテリー容積や複雑なシステム要件によって決定されたのかもしれません。
参考までに車体重量は2,475kgと(スーパーカーにしては)かなり重い部類ではあるものの、ピュアエレクトリックである以上ある程度の重量は「致し方なく」、そしてU9はその重量ハンデを帳消しにするだけの革新的なテクノロジーと運動性能を保有しており、他のスーパーカーとは一線を画す存在となっています。
ヤンワンU9スーパーカーがアクロバティックな自律走行を見せる動画はこちら
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参照:CarNewsChina(Youtube)