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フェラーリ「アマルフィ」の計算された美しさとは?ローマを超える“無造作な優雅さ”という思想を実現したデザインプロセス

フェラーリ「アマルフィ」の計算された美しさとは?ローマを超える“無造作な優雅さ”という思想を実現したデザインプロセス

Image:Ferrari

| フェラーリはアマルフィにおいて大きくデザイン言語を変えてきた |

この記事の要約(3つのポイント)

  • 計算された美: 「スプレッツァトゥーラ(無造作な優雅さ)」を体現しつつ、実は極めて緻密でテクニカルな設計の結晶
  • Romaからの正統進化: 名車ローマの黄金比を継承しながら、より大胆で力強いキャラクターを獲得
  • 究極の共同作業: デザイン、空力、技術部門が衝突と対話を繰り返し、規制をクリアしながら芸術の域へ昇華
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フェラーリの最新作「Amalfi(アマルフィ)」を目にしたとき、ぼくらはその圧倒的な美しさに言葉を失うばかりではありますが、しかしその「軽やかでエレガントな佇まい」が、実は数え切れないほどの試行錯誤を経た複雑な設計プロセスの裏返しであることはあまり知られていない事実です。

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フェラーリ・アマルフィ(Ferrari Amalfi)の概要とスペック

フェラーリ・アマルフィは、マラネッロの「フェラーリ・チェントロ・スティーレ(デザインセンター)」が生み出した、最新の2+フロントミッドシップV8ベルリネッタ。

フラビオ・マンゾーニ率いるデザインチームは、世界中で絶賛された「ローマ」の洗練されたプロポーションを出発点に選び、しかしそこにさらなる「大胆さ」を注入することによって唯一無二の存在感を作り上げたわけですね。

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フェラーリ アマルフィの主要スペック(概要)

項目詳細
エンジン形式V8 ツインターボ
レイアウトフロントミッドエンジン・後輪駆動
乗車定員2+(一応4人乗りだが後席は緊急用)
デザイン責任者フラビオ・マンゾーニ
デザインコンセプトスプレッツァトゥーラ(無造作な優雅さ)
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性能と美学の融合:デザインプロセスの裏側

Amalfiのデザインは、単なる「見た目の美しさ」の追求ではなく、そこには「スプレッツァトゥーラ(Sprezzatura)」、つまり「努力を全く感じさせない、無造作な優雅さ」というイタリアの美学が貫かれています。

そしてこの優雅さを表現する主な手法につき、ぼくは「隠す」「連続性」だとも捉えているのですが、「隠す」についてはフロントとリアのブラックベルトの中にランプやセンサーなどを「隠した」こと、そして「連続性」については、ローマとは全く異なる「リアフェンダーとドアとのデザイン的関係性」に見て取ることができると考えています。

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ちなみに「ドアとリアフェンダー」ではこの「三角形」状のラインが新しく、そしてこれは今のところ「アマルフィにしか見られない」要素です。

そしてフェラーリが公開した動画を見る限り、この「三角」はかなり早い段階で「アマルフィのデザイン的中核」として考案されていたようですね。

Ferrari

Image:Ferrari

ここで、フェラーリが示す「アマルフィのデザイン的特徴」を見てみましょう。

1. 複雑極まる開発の対話

このエレガンスを実現するために、デザインチームは以下のような多岐にわたる部門と絶え間ない対話を繰り返し・・・。

  • デジタル・物理モデラー: 仮想空間と実物大モデルでの造形追求
  • カラー&トリム・エキスパート: 感性に訴える質感の選定
  • 技術管理&エアロダイナミクス: 走行性能と空力規制の最適化
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Image:Ferrari

2. 機能が形を作る「機能美」

フェラーリにおいて、美しさは常にパフォーマンスと表裏一体。

空力特性や安全規制といった厳しい制約をクリアしつつ、オリジナリティ溢れる造形を実現するという、この「相反する要素の統合」こそがアマルフィを特別な一台にしている理由であると説明されています。

Ferrari-Amalfi (2)

Image:Ferrari

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市場での位置付けと「知っておきたい」背景知識

アマルフィはフェラーリのラインナップにおいて「純粋なサーキット志向(フェラーリの表現によれば”スポーツカー”」とは異なる、「洗練されたGT(グランドツーリング)」という地位を確立しています。

そして近年のフェラーリは、ますますこの「GT」「スポーツカー(ミドシップを中心に構成)」「スーパーカー(F80などの記念限定モデル)」「ICONA(コレクター向けの少量生産モデル)」というそれぞれのラインアップを明確に分ける傾向にありますが、このアマルフィはその「最新の思想が盛り込まれたモデル」というわけですね。

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知っておきたい豆知識

イタリア語の「スプレッツァトゥーラ」という言葉は、16世紀の宮廷職人が「どんなに困難なことでも、いとも簡単にやってのけているように見せる」という振る舞いを指すものなのだそう。

アマルフィのボディラインが滑らかに見えるのは、実はその下に複雑な空力デバイスや冷却ダクトが「見えないように」隠されているからで、そうした「隠された苦労(デザイナーの苦労も含む)」によってアマルフィが成り立っているというわけですね。

Amalfi (1)

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結論:アマルフィはフェラーリの新しい黄金時代を象徴する

アマルフィは「美しさ、エレガンス、そしてオリジナリティ」が高次元で融合した現代の傑作といえるクルマ。

「2+」という(ミドシップモデルに比較しての)実用性とV8の刺激的なパフォーマンス、そして何より「努力を隠した究極のエレガンス」を備えたこのモデルは、オーナーにとって所有する以上の喜びを与えるはず。

まさに、「速いクルマは美しい、そして美しいクルマは常にテクニカルであるというフェラーリの哲学を最も純粋に体現した一台と言えそうです。

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参照:Ferrari

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